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サクリファイス/志方あきこ


神棲まう其の眼よ
闇宿る其の手よ
熱を喰み謳うは
現世の枷


罪深き其の眼よ
美しき其の手よ
贄打てり嗤うは
囚われの翳


天の彼方より堕ち逝く
深淵より深きへ
主の緋きものに躯を染めし(捧げし)
地を歩む(硬き大地を別けて)


ゆるやかに刻むは
我が愛しき片羽
時の満ち降る音にぞ 傷は忌み滲む


朽ち果て逝き
祀られ逝き
幾千歳の
砂漠の宮


ひかりとよろこびのおどるへやに
かなしいものがたりはひびかない
さいだんのそとにうつるせかいで
「絶えた都」がいきをひそめてる


共に讃えて
咎を浴びしめよ(溺れよ)
共に焦がれて
礫に打たれよ(降られよ)
永続の渇きに抱かれて
許しを待ちて
総ての標掲げて


強く(其の指で)
掻き鳴らすは痛みか(記憶か)
過ぎし日を乱す景色に(咲く花に)
立ち竦む祝福ぞ
強く(其の頬は)
幾重の棘に晒され(蝕まれ)
仄白く冷たき途を(枯れ野を)
辿り背負う御身ぞ
戒めるは御身ぞ

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