苦しく非我なる海

締め切った部屋の中で 誰かが頚を絞めた
外の世界の人々の きれいな指が
のどぶえに刺さり暗闇を嚥下さす

狭い箱の中で 果てしなく彷徨って
覗き込む人々は 僕を嗤うけど
出口はいつでも目の前にあって 知っていたけれど
痛い目見るよりは厭れていたほうがマシだった

こぼしたくもない涙が いつまでも甘やかし
長い前髪が 盲目を助長した
嘲う声は僕とともに
虚無だけがただ一人の慰めと

いつかこの部屋にも酸素は尽きると
わかってはいたけれど そうするしかなくて
目覚めない朝を待ち望んでみたりして
わかってたくせに わかってたくせに
わかってたくせに ただ僕は
やさしくしてほしかっただけ
どこにいたって苦しいんだ
だからそれだけで良かったんだ
僕の弱さを 見抜いてほしかったんだ




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