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ロストウォーリア短編
消えない傷(物理的に)/side.A(怪我ネタ)
16歳、まだ俺が夜まで仲間と遊んでいた―不良だった頃。
ある冬の日に、いつものごとく近場にたまっていると、これまたいつものように敵対組織の奴らが現れた。そして、もちろん喧嘩になるわけだ。
だがそいつらの相手をするのは容易い。俺は微妙な力加減は得意だったから、数日で回復はできるくらいに殴ったりした。
でも、その時は気づいていなかった。後ろから来る影に―。

そうして5分は経っただろうか。
雑魚はすっかり片付いた。後ろに下がって呻いている。残りの強そうな奴らを相手にし、なかなかの接戦であったが…。
何者かが、俺の背後をつき襲ってきた。
仲間も敵もざわつき、喧嘩は一旦やめになる。向こうの奴が撤収したのを見て、仲間が駆け寄ってきたようだ。
薄れゆく意識の中、白い車体とサイレンがここに来た気がした。

目を覚ましたのは病院だった。
管がたくさん繋がれ、身体中に包帯を巻かれていた。どうやら重傷だったようだ。
おはよう、よかった、とかそういう声をかけてもらった。仲間とこんな場所で会うのはとても新鮮だった。会話もそれなりにした。
しばらくして看護師が俺の病室に来た。この病院にしては珍しく男性だった。
重要な話だろうからと友人は部屋の外へ行ったようだ。
和やかな雰囲気で話し始める看護師。しかし、言われたことはひどく残酷だった。
約1年ほど、激しい運動は避けていただきます。そして特に深い傷は、半永久的に跡が残るでしょう―。
冷静に返事をして話を終える。それを見たからか、外で聞いていたらしい仲間が戻ってきた。
口々に声をかけてくれた仲間。言われたことの中でも一番心に残った言葉は、復帰するまで待ってやる、と真剣な表情で言われたこと。
結局、復帰前に俺たちの組織は解散したが、病院に来てくれた仲間とは今でも仲良くしている。

あの時の戦友が言うには、俺は熊に襲われたらしい。食料を求め、都会に下りてきた凶暴な熊に…。
敵も味方も関係なく、俺の命を取り留めようとしてくれたらしい。
そして、今も抱える腹の傷は、もしも俺が女子なら子を授かれなかったという。
でも今は、その傷まで愛してくれる人がいるから…。

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