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ロストウォーリア短編
母の日【蒼杏+子供たち】May.2ndWeek
「今日はドライブに行くの?」
「そうだよ、ちょっと遠くまで行こうと思って」
今日は…母の日。
籠いっぱいのカーネーションを持って、遠くまで出掛ける日…。

「わー、広ーい!」
「すげぇー!」
「こら、ここで騒いだらダメだからな?」
墓地にも関わらずうるさくする莉杏と伶寧を見て注意する杏寧。
二人とも妻を亡くした身であるからこそ、母親に感謝できる子になってほしい。
そう思い、母の日は毎回妻たちが安らかに眠る場所に連れていっている。
「それで、ママのいるところってここなの?」
織姫が問いかけると、蒼月は優しく答える。
「そうだ。でもここの空の上って言ったほうが正しいかな?」
「そうなんだ…はじめて知った!」
長い黒髪を揺らして、興味深そうに言う織姫。
何でも知りたがる年頃だからか探求心も強いようだ。
「ほら、じゃあお花をお供えしようか」
真っ白なカーネーションを、子供たち自身の手で供えてもらう。
本当は不謹慎なのではないかと思ったが、花屋の女性が問題ないと仰ったので大丈夫だろう。
「よくできたね」
織姫の頭をくしゃっと撫でてやる杏寧。整えられたツインテールも癖毛のように乱れた。
「もう…くすぐったいよ、杏寧おじさん」
「織姫ちゃんは冷たいなぁ…寂しいよ、俺」
おじさんなんて知らない、と織姫はそっぽを向く。幼くて可愛いものだ。
「じゃ、向こうにも行くか」
「りあん、行くのー!」
蒼月の誘導で、次は杏寧の妻のいるほうへと向かった。
「莉杏、伶寧、今度はお前らの番だ。上手にできるかな?」
「僕がんばるー!」
「りあんも!りあんもやる!!」
籠に残ったカーネーションを、時折織姫に助けてもらいながら二人でたむける。
最後にお祈りして、任務完了の笑顔。
「りあん、できたの!えらい?」
「おー偉い偉い」
先程の織姫のように、莉杏も撫でてやる。
うっとりと笑う莉杏は可愛かった。
「僕は?」
「伶寧も頑張ってたよ」
上目遣いで問いかけてきたのでぽんと肩を叩いてやる。
「そろそろ帰るぞー」
蒼月がそう言ったので、子供たちを連れて戻った。

大好きな君へ
子供たちもこんなに大きくなりました。
これからもっともっと立派に育つように、良き相棒と力を合わせ頑張ります。

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あきゅろす。
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