M8 今、未来を咲かすための/失想ワアドパロ【穂然】 いつも通りに朝が来る。 いつも通りに一日が終わる。 どうして、時間は普通に過ぎていくのに。 私は普通に生きていけないの。 まだ未来に夢を抱いていたときは、確かに綺麗だったけれど興味もなかった。そこにいられるのが当たり前だったから。 希望のない私には、外の世界に行くことすらままならない。ただ恐怖があるだけ。 挨拶すらできないなんて可哀想。親を通じて、そんな言葉を何回も聞いた。それでも喋れない、喋ってはいけないんだ。 こんな惨めな私なんて、いなくなればいいんだって…何度も何度も消えようと思った。 でも消えたのは、綺麗になろうとしていたあの頃の自分だけ。馬鹿みたいな自分しかいなくて、本当にダメだな。 庭に咲いた花は綺麗だった。 大好きだった人達はもうそこにはいない。 それは事実らしいが、未だによく分かっていない。 早く受け入れてだなんて言うけど、何を受け入れたらいいの?私は大好きな人達の迎えが来るまで、まだ待っている。だって、いるはずだもの。 そして取り戻して。太陽のような笑顔を咲かせている、あの時の私を。 何度も何度も、話そうと、外に向こうとしたはずなのに。 間違えてしまう自分は惨めだ。 誰にも見つからないように、隠れていなくちゃ。 邪魔にならないように、閉じこもっていなくちゃ。 不意に誰かが私を呼んだ気がした。 世界中の人が集うアジトから聞こえた。 そんな風に思えた。 大好きだった人達はいなくても、これから大好きになる人ならいるはずだから。 絶望していても、何も変わらない。これから溢れるであろう希望を声にしよう。そう心から思えた。 寝癖直して外に出よう。 きっと未来を咲かすことはできるから。 ―穂然ちゃん。 ―この手を取って。 [*前へ] |