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浮気調査ですか?



──カタカタカタ

「見つからないなぁ…銀龍の情報」

いつもと同じ様にネットの出来るカフェに居座りながら、ひたすら情報を探す。
けれど一切の情報を見つける事が出来ずに早1ヶ月。
総長の芙仁さんに命じられ、銀龍の龍樹を捜している僕達朱雀は色々な手を使って探しているにも関わらず未だに前進していない。
カチャッとパソコンの横に珈琲カップを起きながらまた溜息が洩れた。

「何で少しも情報が出てこないのかな?都内でNo.1なんだし、あっても不思議じゃないんだけどな」

なんて独り言を言いながらまたカタカタとパソコンを構い出す。

──カタン

ふと右隣に人の気配がして誰かが座った。
それが誰かなんて僕には興味なく、視線を向ける事無く作業を進める。

「そんなに頑張るなんて浮気調査ですか?」
「何見て…ッ!!?キミは!!」

不意に嘲笑うかの様に話し掛けられ、僕が驚きに隣を見れば其処には銀色の髪と碧色の瞳があった。
その彼は僕等が今捜している最中の人で。

「なぁに驚いてんだよ、朱雀の主力メンバーの華月満さん?」
「…流石ですね。やはり銀龍の総長をしているだけありますよ」

彼方の情報は一つも無いのに此方の情報は知られている。
パタンとパソコンを閉じながらゆっくりと彼の方へと顔を向けてそう言った。
それでも彼は愉しそうに口端を上げたまま余裕な表情で目の前に居る。

「そりゃどうも。そっちもよくもまぁ、あんな総長の下で動いてんな」
「…ッ、芙仁さんの事を悪く言うな!!」
「おーイイね、その顔。主人を馬鹿にされてキレるなんて大した忠犬じゃん、アンタ」

クスクスと頬杖をしながら笑う彼の姿は、まるで悪戯が成功して喜ぶ小さな子供の様。
無邪気な程の笑顔を見せる彼は何処となく艶っぽい。
そんな彼にトクンと胸が高鳴り、僕はハッと我に返った。

「で、どうして此処に?僕等が貴方を捜している事は知っている筈でしょう?」
「別に用は無いよ。たまたま前を通ったらアンタが居たからさ」

寄ってみただけ、と付け加えて彼はその場に腰を上げた。

「煩いのが捜してると思うし、そろっと行くよ」
「ちょっと待って!!もし僕等が貴方を捕まえられたら……芙仁さんのモノになってくれますか?」

それは無意識に尋ねていた。
何で、かなんて僕にも分からない。
多分聞いておきたかったんだ。

「悪いけどさ、俺は誰のモノにもなる気は無いよ」
「どうしてですか!!?貴方はあの方に必要とされているのに!!」

考える間も無く、彼は僕にそう告げる。
その言葉を聞いて声を荒げた僕に彼は妖艶にそれでいて不敵に口端を上げて笑って答えた。




俺は俺自身のモノだから




配布元:セリフ100





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あきゅろす。
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