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無双
学パロ周泰×張遼
退屈な授業を聞き流しながら周泰は窓の外を見ていた。
普段から勉強熱心とは言い難い為真面目に聞いてもどうせ内容はさっぱり分からない。
聞いても聞かなくても同じなら聞かない方が気分はましだと思う。
またテストで赤点だらけという結果になれば部活の主将である孫権に怒られるはめになるが今はそれでも構わないと思った。
どうせ自分には勉強など必要無いとスポーツ特待生らしい態度を見せるもしばらくしてそういえば留年はどうにも回避できないのだったかという事を思い出しのろのろと一応黒板の文字をノートに書き写す。
自分と同じくスポーツ特待生である甘寧の席をちらりと見ると彼は早々に諦めて居眠りをしている。
身長の無駄に高い自分がこっそりと居眠りをするというのは不可能であり,しかし甘寧のように堂々と居眠りをする気も起きず他の何人かの生徒と同じようにただチャイムが早くなることだけを望んで黒板の斜め上辺りに設置されたスピーカーを眺める作業に入った。
前さえ向いていれば真面目に見えたりするものだ。


「周泰殿,」


チャイムが鳴り前の授業の教師が出て行ったと同時に教育実習生である(本人いわく熱心な)張遼がやってきた。
張遼はさっと俺のノートを手に取るとまた授業を真面目に聞いていなかったでしょうと呆れたように溜息を吐く。
ちゃんとノートを取っているだろうと反論するも数字を書き写し間違っていますよととんとんと指で叩いて指摘されその計算がただ書き写しただけのものである事が明らかにされる。
細かい奴だと呟きながらも間違った部分を消しシャープペンシルを握る。
しばらく見つめるも勿論正しい答えなど思いつかない。


「ノートを取っていると言うならどうして説明も聞かないのですか。」
「…どうせ聞いても分からない…」
「そうして諦めるのが一番良くないのですぞ。」


2度目の溜息を吐くと隣に膝をついた張遼が解説をしながらさらさらと赤ペンで正しい答えを記入する。
解説の声は全く俺の耳に届かずただその唇がぺらぺらと言葉を発するのだけが理解出来た。
分かりましたか?という言葉と共に張遼の顔がこちらを向く。
全然分かりはしないのだが一応頷いておくと満足したように張遼も頷いた。
いいですか,次の授業は真面目に話も聞いて下さいよとだけ言葉を残して立ち上がると張遼はさっさと去ってしまう。
未だに眠り続けている問題児の元へと向かう後姿を見つめ,その後張遼の字の残るノートに視線を落とした。


どうせさっさと居なくなってしまうくせに,どうしてこうもあいつはお節介なのか。
優等生の世話でも焼いておけばいいのに俺たちのような奴らばかりを構いたがる。
どうせ,と小さく口に出してまた窓の外を見る。
綺麗な赤い字が,風にふかれてぱたぱたと揺れた。









( この字のように消え無いものを残していくばかりで, )

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あきゅろす。
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