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BSR
小十郎×慶次(友垣死亡設定)
どうして、
この世の中には自分一人しか居ないのではないか、とまで考えてしまう。
だって、だって、どうしてか、俺だけこんなにも長く生きてしまったのだ!
もうねねは居ない、半兵衛もいない、秀吉だっていない、のだ。
あの日一緒だった想い人も仲間もみんなみんなもう同じ場所に行ってしまったというのに俺だけこんな所に居る。
俺があまりにのろまだから、置いてきぼりをくらってしまった。
そうだ、いつだって俺はあいつらに置いていかれるのだ。
(ねねから、半兵衛と秀吉から、俺は、俺は、)


おかしいな、華の命は短いはずなのに。
頬が冷たいなと手を伸ばして、やっと涙が流れているのに気が付く。
あれ、あれ、と拭っても拭ってもぼろぼろと流れる涙が止まる事はなかった。
生き過ぎてしまった、この乱世の中で、それは決して良いことだけではないのだ。
(だけれど、死ぬのは、こわいんだよ、俺は臆病だから)




「慶次。」




背後からの声を聞いた時、あれだけ流れていた涙が少し勢いを緩めた。
お前、また泣いているのか。と呆れた様な声が聞こえる。
失礼な、まただなんて言うほど俺は泣いていないと言い返したかったけれどただ嗚咽が漏れるだけで上手く言葉にはならなかった。
伸びてきた手が涙を拭うとまた涙が溢れ出した。
苦しい、苦しくてたまらない、さっきまでの苦しさとはまた違った苦しさが遠慮なしに胸を締め上げる。
この人と居ると、どうしてかこんな気持ちになるのだ。
苦しくて、どうしようもなくて、けれども側に居ないのはもっと苦しい。
やっとの思いで小十郎さん、と俺の頬を撫でる男の名前を言うとついには声を上げて泣いてしまった。
この人に縋り付いて、思い切り泣きたい。この声が嗄れて、この頭が真っ白になって、もう何も考えられなくなるまで泣きたい。
そんな我儘をこの人は叶えてくれるのだ。
どうして、どうしてこんなに優しい人がいるの、だろうか、




「どうして、どうして、俺は、生きて、いるの、俺だけが、」
「何時お前だけになったんだ。お前の周りにはいろんな奴がいるだろう。」
「誰も居ないんだ、だって、みんな死んで、」
「俺は死んじゃあ居ないぜ、寝ぼけたこと言うんじゃねぇよ。」
「あんたは、俺の側に居てくれないよ、だって、」





だっての続きより先にそんな言葉は要らないとでも言いたげな唇が俺の口を塞いだ。
上手く呼吸ができなくて、苦しくて頭がくらくらする。
はあっとやっと大きく呼吸が出来た時、目の前には泣く子も黙って逃げ出すようなそれは恐い顔があった。



「お前が何て言ったってな、お前の側には俺が居るぜ。いや、俺の側にお前を居させてやる。」


無茶苦茶だと言おうとした言葉がまた唇で押さえつけられる。
苦しいのが増して、けれども身を焦がすようだった孤独感はその影を潜めている。
ただ独りにさせないという小十郎さんの言葉がいっそう強く俺の心を締め付けて、俺はまた何も言えなくなるのだった。




















( お願い、そのまま離さないで、 )










***
BSR3は設定だけで色々考えてしまう。

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