ideology 2 ベッドから出ないことには何も出来ないので、憂鬱ながらも重い身体をベッドから降ろした。 部屋は綺麗な方だと思う。物が少ないというのもあるけれど。 テーブルの脇を通って洗面所に向かう。薄暗い洗面所の電気を付け蛇口を捻って水を出し、顔を洗う。 水の冷たさで霞のかかっていた脳内はパッと晴れた。 顔の水滴を拭きながら昼食を食べてから行くか、食べずに行くか――そんな事を考えていたら急に頭痛に見舞われた。 思わず眉間に皺を寄せ頭に手を当てる。 何気なく目をやった鏡には俺だけど俺じゃない誰かが映っていた。 息を呑み、目を見開いて鏡を見たら、今までより激しい頭痛。 たまらなくなりその場にしゃがみ込んだ。 実際の時間的は数秒だと思うが、体感的にはかなり長く感じた。 今のは何だったんだ……。髪をクシャッと掴んでみたが頭痛はもう消えていた。 恐る恐る立ち上がり鏡を確認したが映っているのはいつもの自分。 ――きっと何か気のせいだ。 そう自分に言い聞かせてこれ以上考えるのをやめた。 干してあったワイシャツを手に取り、皺を伸ばすように引っ張ってみるが気休め程度にしか皺は取れなかった。 いつもなら夜のうちにアイロンをかけておくのだが、昨夜は何故か眠気に勝てず風呂を上がってすぐ髪もあまり拭かずに布団に潜ってしまった。 まぁ、あと2時間だしブレザーを着れば大丈夫だろう。 ワイシャツを着てネクタイを締める。 ワイシャをズボンに入れるのが何か好きになれない中でクシャクシャってなるのが気持ち悪い。だから入れるのは少しだけ。 椅子の上に置いてあったカバンに定期、鍵、教科書などを放り込んでいく。 携帯はズボンのポケットに入れてブレザーを着て家を出た。 [*Before][Next#] |