午前2時の贈り物(泉) 午前2時。こんな非常識な時間に誰が電話してくるんだ。面倒だったので携帯画面も見ずに通話ボタンを押して携帯を耳に当てた。 「おーっす、泉!起きてる?」 電話口から聞こえた声は苗字 の声だった。同じクラスで、今隣りの席のヤツ。常日頃からテンションが高く、クラスのムードメーカー的存在。喋りやすくて、男女分け隔てなく好感を持たれるタイプ。…こんな時間に電話してくるなど、非常識面を少し持ち合わせているのがタマにキズ。 「寝てたんだけど」 「あ、ごめん」 謝るなら電話をするなと言いたい。 「で、なんの用?」 「うん?特に用は無いよ?」 だったらなんのために電話をしてきたんだお前は。というか、何故こんな時間でも普通にテンションが高いんだ。低い時は無いのか。 「ただね、泉の声が聞きたくて電話しただけだよ」 「は…」 ちょっと待て、なんか今、すごい可愛い台詞を言ったよな、苗字 。ちょっとドキッとしちゃったじゃねーかよ。 「だから、声聞けたからもういいよ!ごめんね、おやすみ!」 おーおやすみ、と気の抜けた返事を返したら、早く寝るんだよ!と言われ苗字 が電話を切った。ツーッツーッ、と言う電話音といつもより早く高鳴る鼓動が自分の耳に嫌なくらいに響いた。 ちょっと待て、予想外の言葉だ。 午前2時の贈り物 |