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告げられた言葉は、終わりを告げる言葉だった。(春市)


「兄貴じゃなくてごめんね」
「お兄さんを好きになってごめんなさい」


謝るのならば兄貴じゃなくて俺を好きになってよ、兄貴が好きだなんて言わないでよ、と言いそうになってのみこんだ。言ったところで何も変わりはしないと思ったから。すでにもう、兄貴を好きになってしまっているのだから。


「別れなきゃね」
「うん」


本当はまだ別れたくないよ。別れなきゃね、なんて言いたくなかったよ。でも、言わなきゃ君が困ってしまうから。君を困らせたくなんてないから。


「苗字 さん、兄貴と上手くいくといいね」
「春市くんも新しい彼女出来たらいいね」
「そうだね」


きっと当分は出来ないと思うけど。だって完全に吹っ切れたわけじゃないから。君がすごく好きで、好きで仕方なかった。だから、兄貴を好きになってしまった、と聞いたときは悔しかった。どうれば俺を好きなままでいてくれたの、と悩んだ。

ねぇ兄貴。どうして俺の欲しいものを全部貴方は奪っていくの。貴方は俺の欲しいものを全部持ってる。俺の欲しいものを奪っていく。


「春市くん、好きだったよ」


彼女の声がひどく耳に響いた。それが頭の中で何度も何度もエコーした。彼女の言葉は過去形で、それは終わった愛を教える言葉だった。


告げられた言葉は、
終わりを告げる言葉だった。




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春市ってこういう経験し(て)そう。
逆に言えば、亮介さんもし(て)そう。


(2007/10/01)


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