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世界の終わりに(キリ番4444:琳様 リク:猫→アリ溺愛)



「もし、世界が終わるとしたら」

チェシャ猫、あなたはどうする?


ガッコウから帰ってきた僕のアリスは、勢いよく自室のドアを開けて僕の正面に座り込むなり、そう言い放った。
おかえりと言う暇さえ与えられなかった僕は、彼女の突拍子もない問いの答えよりも
彼女がやけに大事にしていた制服が皺になることを考える。

答えない僕に焦れたのか、彼女は急かすように僕の名を呼んだ。

改めて彼女を眺めると、額には汗が浮かび今朝、丁寧に手入れしていた髪も息も乱れている。

部屋に入った時に投げ出した鞄がドア横の本棚にぶつかったらしく、先週の日曜日に整理したばかりの、棚の一番下に並んでいた本がぐちゃぐちゃになっていた。


一体、彼女はどうしたのだろう。ガッコウで何か吹き込まれたのか。考えられるとすれば、あの憎々しい白兎くらいしかいないのだけれど。

そんなことをぼんやり考えていると、彼女が僕のローブの裾を摘んだ。


「ねえ、答えて」


懇願のような声に多少驚きつつ、ともすれば泣いてしまいそうな彼女に、できる限り優しい声色で「何かあったのかい」と問う。


…想像以上に気持ちの悪い声が出た。
甘ったるい、纏わりつくような、普段僕が出すものとは程遠い声。

どうやら僕は自身が思う以上に彼女に泣かれたくないらしい。

しかし思い返してみれば、意識したのは今が初めてだとしても、彼女に対する時は、自然といつもこの声になっているような。

ぼんやりと思い返していると、依然として潤んだ瞳の彼女が口を開いた。


「雪乃に、ね、今日、聞かれたの」


出た名前に、あの腐れ兎めが、と心中で毒づく。
しかし、『世界が終わるとしたら』などと馬鹿げた質問だけで何故、彼女はこんなに焦ったのか。


「それで、何か言われたのかい」

「…雪乃は、大切な人と一緒に迎えられるなら、何もいらないって言ってたんだけど」


白兎の言いそうな言葉だと思った。無欲なふりをして、強欲な奴。
僕らの、僕のアリスを独り占めしようだなんて。そんなこと、お前より欲が深い僕が許すはずないのに。

けれどその言葉のなかに、彼女が急いで帰ってくる理由はない。そこで、彼女の答えを聞いていないことに気づく。


「アリスは何て答えたんだい?」


彼女は大きな目から一粒だけ涙を零して、何も浮かばなかった、と言った。


「世界の終わりが、想像できなかったの」


僕といる今が当たり前すぎて、変わる瞬間の想像すらできなかった、と彼女はとうとう泣き出してしまった。


「チェシャ猫、消えないでね。私の前からいなくならないで…」


そう縋る彼女は嗚咽を漏らして、さらに強くローブを握り締める。


彼女は死んだ父、殺された母と同様、それ以上に僕に依存しているのだと、そう無意識に伝えてくる彼女がひどく愛おしかった。
震える彼女の髪を梳いて、彼女が望む言葉を口にする。


「例え世界が終わるとしても」


僕は君と一緒にいるよ


世界の終わりに
とワルツを


(愛しいアリス、君が不変を望むなら!)



以下、あとがき

キリ番4444を踏んで下さった
琳様に捧げます!!
な、長らくお待たせした上に何でしょうねこの駄文…!
アリスはチェシャ猫との別れが想像できない程チェシャ猫が好きだといいなっていう妄想の産物です///
あれ?猫←アリ溺愛?;

あああ折角の素晴らしいリクが達成できずすみません!
琳様に限りフリーです。





あきゅろす。
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