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日向芳香(キリ番600:四つ葉様 リク:帽・アリほのぼの)



そよぐ風は罪のように優しく
降り注ぐ日は嘘のように温かい。そんな風に思ってしまうのは、俺がひねくれているからだろうか。
けれど、隣で紅茶を飲む少女が嬉しそうに笑っただけで、これが罪だろうと嘘だろうと

「…いい天気、だな」

なんて思ってしまう俺はどれだけ単純なのだろう。
ぽつりと呟いた言葉は、頬を撫でる風に消えた。


「え、何?」
アリスは首を傾げると、帽子屋の入れた紅茶を一口。

「別に?」
疑問符つきで皮肉のように返せば、アリスは嬉しそうに笑う。

「変な帽子屋」

「アリスに言われたくない」

間発入れずに返すと、案の定アリスはむくれた。

「いいもん。どーせ変ですよーっだ」

舌を突きだしてみせると、帽子屋は「可愛くない」と笑う。

アリスはさらに怒るかと思えば、その大きな目をさらに開いて
じっと帽子屋を見た。
帽子屋を見たまま、アリスはティーカップを置く。
ティーカップとソーサーが小さな音を立てた。


「…何」
「べっつにー?」

見つめられて居心地の悪くなった帽子屋が、少し帽子を傾けて紅茶を飲むと
アリスもそれに倣って紅茶を口に含む。
帽子屋が、帽子の隙間からアリスを見れば
アリスは目を細めて「美味しい」と笑った。


「砂糖入れてくれたんだ?」
「いつもいつもアリスが苦いって騒ぐからだろう」

俺の煎れた紅茶に砂糖なんて、と呟くとアリスは照れたように笑った。

「いつも、」

アリスの言葉に帽子屋がうつ向いた顔を上げる。

「いつも帽子屋は、優しいね」

優しかったよね。

アリスは嬉しそうに笑う。

「ねぇ、明日も甘い紅茶を煎れてくれる?」


そう言うと帽子屋は、帽子のつばを傾けた。


「…俺らのアリス、君が望むなら」



いつだって何度だって
甘い紅茶を君と共に。



以下、あとがき

キリ番600を踏んで下さった
四つ葉様に捧げます!!
帽子屋思いっきり偽者ですね!申し訳ないです;
四つ葉様に限りフリーです。




あきゅろす。
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