JUSTICE And PIRATES ユバの夜 自分に近づいてくる人の気配に気付いたが、老人は手を休めず口だけ動かした。 「……。こんな町に旅人とは珍しい…。まぁ、何もないがゆっくりしていきなされ…。」 「なぁおっさん。何やってんだ?」 ルフィの問いに、水を掘っていると答える老人。 一見、水なんてなさそうだが、地面を掘っていけば湿った地層にたどり着く。そこから水を絞り取るのだという。 「あのー…、ここには反乱軍が居ると聞いたのですが…。」 「――――!!!」 ビビの言葉に老人は、突然態度を変え怒鳴り始めた。 「お前ら、反乱軍になんの用だ!!まさか、反乱軍に入りたいと言うんじゃなかろうな!!?」 「わわっ、おっさん落ち着けって!」 「あのバカ共ならここには居ない!とっくにカトレアに移動したよ!!」 「カトレア?!」 「どこだビビ!近いのか?!」 「ビビ………?!!」 老人はビビと言う言葉に反応し、怒鳴るのを止めた。 「…今、ビビと言ったか…?」 「え……?」 「ビビちゃん…?ビビちゃんなのか…?!」 老人はビビに近づき、顔を覗き込む。すると、ビビも老人に見覚えがあるのだろう。口に手を当ててはっとした。 「トトおじさん…?」 『…知り合い?』 「…みたいだな。」 「そうだよワシじゃよ!分かりにくいかのぉ…、無理もない、少し痩せたからな…。」 トトおじさんと呼ばれた老人は、ビビの腕を掴み涙を流した。 「ビビちゃん…。ワシはな、国王様を信じとるよ…。あの人は、国を裏切る人じゃない…!」 「おじさん……。」 「ビビちゃん頼む!あのバカ共を止めてくれ…! あ…あいつはら…、次の戦いで最後にするつもりらしい…! あいつらは…死ぬつもりなんだ……!!!」 トト老人は悲痛な声をあげ、滝のような涙を流した。 「大丈夫よ、おじさん。私が何とかするから…。心強い仲間も居るし、きっと大丈夫!」 ビビは優しく笑いかけ、トトにハンカチを差し出した。 その後、トトの厚意により、今晩泊まる宿を提供された一行は、宿に入り部屋でくつろいでいた。 『ねぇ、ビビ。カトレアってどこにあるの?』 「ナノハナの近くよ…。だから明日は今来た道を戻って、ナノハナの隣カトレアを目指すわ。」 『うん、分かった。』 「あれ?名無しどこ行くの?」 『ちょっと夜風に当たって来るわ。』 そう言って名無しは外に出た。 『ルフィ、何やってんの?』 「おう、名無しか!穴掘りの手伝いだ!」 『そう…。 あ、トトおじさんだっけ…?部外者の私が言うのも何だけど、私もこの国の王様は信じていいと思うわ。』 「…君、ビビちゃんのお友達かい?どうしてそう…」 『ビビのお父さんだから!他のメンバーに比べて、ビビとの付き合いは短いけど、一緒にいてあの子は真っ直ぐで強くて、優しいってのがよく分かったの…。そんな人のお父さんが悪い事する訳がない!って思っただけ。』 「……………。そうか…、ありがとう。」 『いいえ!』 一方、部屋では… 「オレは体力がねぇんだよ!てめぇらバケモノと一緒にすんな!!」 ボフッ! 「やったなテメェ〜!」 「それに、今日のへばった大賞はお前だろ、青っ鼻!」 バフッ! 「おれは暑いのダメなんだ〜(泣)」 「サンジさん、そこ私の…ι」 「ああ…今夜は、一人で眠るの辛いだろうと…。」 「で、てめぇは何やってんだそこで?!」 バフッ! 「おう、いい度胸だな! 誰だ?!今オレにフッかけてきやがったのは?!」 「勝負だクラァ〜!!」 ギャギャー… 部屋では、男達による枕投げ合戦が展開されていた。 「あんた達!仮眠の意味分かってんの?!(怒)」 ナミが怒鳴るが、誰も聞いていない。 ボフッ! 「っ………!!」 誰かの投げた枕が、ビビの顔面にストライク。 「ちょっとあんたら!!ビビに当たってんでしょうが!!(怒)」 「…………。」 ビビは、鼻の辺りに手をやりながら、大騒ぎするメンバーを笑って見ていた。 プルプルプルプル… 「……?!おい、電伝虫か?」 プルプルプル…… 聞こえて来た電伝虫の音に、メンバーは枕投げをしていた手を止た。 「名無しのじゃねぇか?この中で電伝虫持ってるのあいつ位だろ。」 「私、名無しさん呼んで来るわ!」 そう言って、ビビは名無しを呼びに向かった。 「……白ひげの電伝虫だ…。まさか、今すぐ帰って来い!とか言うんじゃねぇだろうな〜?!」 ←→ [戻る] |