JUSTICE And PIRATES 青い箱と潜入任務 「…チッ……!」 ルッチは、眉間に深いシワを刻みながら、任務に出発していく名無しとカクの背中を見つめていた。 「何でオレじゃねぇ…ってか?」 「あァ?!」 「名無しとケンカでもしたか?あ〜残念だなぁ〜。」 「うるせえ野良犬!!」 ニヤニヤしながら茶化してくるジャブラを睨み付け、ルッチは自室に戻っていった。 海列車パッフィング・トム車内― 名無しは窓側に、カクはその隣に座っている。 最初は、初めての海列車に興奮していた名無しだったが、遊びに行くのではなく任務という事で、次第に引き締まった表情になっていった。 そんな名無しの横顔を眺めていたカクは、任務についての話を切り出した。 「そう言えば名無し、どうやって入れ墨のターゲットを見つけるんじゃ?」 名無しの任務内容は、ある村に潜んでいる反政府組織の幹部を拘束する事。 その幹部の背中には、反政府組織の証でもある入れ墨が掘られていて、見れば一発で分かるのだが… 「いきなり服を捲って背中見せてくれ!とは言えんし、風呂を覗けば只の変態じゃ…。」 『あれ?一昨日言わなかった?』 「…そ、そうじゃったかのぅ…(汗)」 『うん、確かに言ったと思う…。でも、もう1回言うね?』 ───── 『…………。』 穏やかな海の上を走る海列車。その車内、名無しは窓から海を眺めていた。 「なぁ…名無し…」 『…?』 「…その……1つ聞きたいんじゃが……。」 カクは、何故か言いにくそうにしている。 「その…、一緒に任務に行く相手…何故ワシを指名したんじゃ?」 名無しなら、絶対ルッチを指名すると思ってたのに…とカクは言った。 『べ、別に理由は無いけど…迷惑だった?』 「迷惑なんてとんでもない!むしろ、嬉しいわい!うん♪」 カクは笑顔だった。 ───── 一週間後― 無事に任務を終えた名無し達は、エニエス・ロビーに帰還する為、海列車に乗っていた。 『お疲れ様!』 「あぁ、お疲れさん! …それにしても名無し、見事な戦いっぷりじゃったぞ!」 『…そう?…まぁ、これもルッチとの特訓の賜物かな…?』 そう言って名無しは、大事そうに抱えていた青い箱を、ギュッと握り締めた。 「………。 なぁ、名無し…。その箱は何じゃ?」 『べ、別に何でもないわよ?』 「……怪しいのぅ…。」 名無しが持っている青い箱は、ルッチへの土産…。カクにはそう思えて仕方なかった。 「(あの時、ルッチを指名しなかったのは、土産を渡す為か…。はぁ……やっぱり、ワシの入り込む隙は無いわい!) なぁ、名無し。せめて親友になってくれんかのぅ?」 『…は?』 「いや、独り言じゃ!」 『………?』 ───── 海列車は、エニエス・ロビーに到着した。 列車の扉が開き名無し達が降りると、海兵や役人達から、ご苦労様でした!と次々声が掛かる。 『……あ、ハイ…』 「「名無しさーん♪任務お疲れ様で〜す!」」 笑顔で声を掛けてきたのは、若い海兵コンビ通称2羽烏。 この2人、一緒に任務に行った相手がカクではなくルッチだったら、怖がって絶対近づかないだろう。 「名無しさ…「コラお前ら!!さっさと持ち場に戻らんか!(怒)」 「「Σげっ…!」」 先輩海兵に怒られた2羽烏は、名無しに手を振りながら去っていった。 『…………ι』 「名無しはモテモテじゃのぅ〜」 司法の塔内― 「名無し、どこ行くんじゃ?」 『…え?!』 「…ルッチの部屋じゃろ?」 『いや…その…』(←図星) ←→ [戻る] |