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JUSTICE And PIRATES
六式特訓
『…もう帰っちゃうの?』

「何だ、寂しいのか?」

『別に。』

即答の名無しに、あららら…と苦笑いを浮かべ、役人と二言三言言葉を交わしヒラヒラと手を振りながら、クザンは司法の塔を後にした。


塔内を一通り案内された後、こじんまりとした小さい部屋に案内される名無し。

「今日から、ここが君が寝泊まりする部屋だ。必要な物は一通り揃っている。」

小さな部屋には、ベッドと机があるだけで実に殺風景だ。入って左の扉を開けると、風呂とトイレと洗面所があった。

「今の見習い以下の君には、この部屋で十分だ。自分で掃除しながら使え!」

『…………。』コクリ


─────

「今日から、ここで生活してもらう訳だが……」

名無しの部屋と違い、広くて綺麗な部屋に通された名無し。

「え〜…まずは、これを付けろ!」

渡されたのは、海楼石の腕輪だった。名無しは腕輪を付けると椅子に座った。

そして早速、CP9としての心得、六式と呼ばれる体技の事、勉強と称して世界政府の正義の話など、延々と何時間も聞かされる名無しだった。

特に正義の話は、六式の特訓が終わった後で疲れていても、耳に大ダコが出来るくらい何度も、毎日毎日聞かされていた。
それと同時に、海賊をはじめとする悪についても聞かされていた。
それはもう、まるで刷り込みのように…

『…(疲れた…。ってか、その話…昨日も一昨日も聞いた…。)』

「こら名無し!聞いているのか?!」

『き、聞いてますっ!』

約3時間後、政府の正義についての講義は終わった。(今回は短い方)

「…………。」

去り行く名無しの背中を見ながら講義の担当者は、数ヶ月前にクザンから言われた言葉を思い出していた。




「あの子…名無しは真っ白な子だ…。だから、周りの環境次第で、何色にでも染まる…。」



「……どうなる事か…」

フッと一息吐くと、名無しとは反対方向に曲がる講義の担当者だった。


─────

名無しがエニエス・ロビーに来てからというもの、今では正義の講義は週3日に減ったが、六式の猛特訓は毎日毎日休みなく行われていた。

『疲れた……。』

1日が終わる頃には殆ど体力が残って無く、シャワーが終わると死んだように爆睡。そして、あっという間にまた朝がくる…の繰り返しだ。

「名無し!起きろ!!」

『……今、夜中の2時なんですけど…』

夜中といっても、不夜島エニエス・ロビーに夜は無い。

任務によっては、真夜中に動かなければならない場合もある!という事で、それに慣れる為夜中の明るい空の下、六式の特訓をさせられる事もしばしば…。

『〜〜〜…。』

「しっかり目を開けんか!(怒)」

『(…夜なのに明るいなんて…時間の感覚が狂うわ…)
……痛っ!!』

「集中しろ!!」

嵐脚の特訓で股関節を痛めたり、指銃の特訓で突き指、月歩の特訓で高い所から落下して負傷…などなど…。常に顔や手足には絆創膏。ケガしない日はなかった。

それでも名無しは、毎日メゲずに特訓を受けていた。


─────

『大将就任?!』

朝一で見た新聞。そこには【クザン氏、大将就任!】の見出しがあった。

『大将青雉だって…。』

名無しが記事を読んでいると、扉の外から声が聞こえてくる。

「名無し、何してんだ!?時間だぞ!!」

『…今行きます!』

新聞を読みふけっていたせいで、特訓開始時間を過ぎてしまっようだ。
名無しは慌てて部屋を後にした。




『〜〜〜〜!!』

今日も、何時ものように体に傷を作る名無し。だが、元々運動神経のいい名無しは、本人が気付かない内に少しずつ六式の基礎を体得していくのだった。


そして、年月が経過していった―


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