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JUSTICE And PIRATES
バレた嘘
シャボンディ諸島から帰って数日経ったある日、ついに隠して来たウソがバレてしまった。

アルバート家のリビングには、完全にキレているアンデルと、青い顔をしたメアリーと名無し2と半泣き状態の使用人の姿。

「どういう事だ!!
名無し2は女だったのか?!みんなで騙しやがって!!!」

怒り心頭のアンデルは、メアリーの胸倉をつかみ殴りかかろうとした。

『止めてっ!!』

「うるさい!!!」

バキッ…!

止めに入った名無し2を蹴り上げたアンデル。蹴られた名無し2は吹っ飛んで、壁に激突した。

『痛い……!』

「旦那様、お止め下さい!!」

「黙れ!貴様もグルだったんだな!!」

怒り狂ったアンデルを止められる者は居なかった。


しかも間の悪い事に、どこから聞きつけたのか、名無し2の祖父オリバーがこれまた怒りの表情で現れた。

「おい!どうなっているんじゃ!!名無し2は女じゃっただと?!」

「そ、それは……」

オリバーが現れた事により急にペコペコし出したアンデルは、あの手この手の言い訳をするが、オリバーの怒りは収まらない。

「…よくも騙しやがって…!こんな屈辱は初めてじゃ!!!
アンデルよ…、あの話はなかった事にして貰おう!!」

言うだけ言ったオリバーは、つり上がった目をしたままリビングを出た。

「……そんな、お待ち下さい!!あれは、自分も今まで知らなかったんです!決して騙してた訳じゃ……!!」

オリバーの腕を掴み必死に引き留めるアンデルだが、オリバーはあの話は最初から存在せん!と言い放ち、アンデルを振り切り屋敷を後にした。

「…………。」

その場に残されたアンデルは、ガックリとうなだれながらも、思うようにいかなかった事に腹が立ち、怒りに震えていた。


─────

ウソがバレた翌日から、名無しの生活は一変した。

父アンデルからは、自分が名付けた名無し2という名前でも、メアリーが名付けた名無しという名前でもなく、おいだの貴様だのお前だのと呼ばれ、決して名前で呼ばれる事はなかった。

それだけならまだしも、辛く当たられるようになり、酷い時には食事抜き、言葉の暴力、殴る蹴るなどの暴力といった虐待を受けるようになっていた。

「お前のせいで滅茶苦茶だ……!!」

バキッ!ドカッ…!

『いやー、痛いっ!!』

「お前が女だったせいで、父上の遺産引き継ぎの話は全部パーだ!!」

オリバーは、アルバート家に男の跡取りが生まれたら、自分の遺産をアンデルに譲ると約束していた。
金に目が眩み、オリバーの超莫大な遺産がどうしても欲しいアンデルは、即子供を作った。

しかし、生まれたのは男の子ではなく女の子。
一人目(名無しの姉)は失敗となり、2人目に期待したが2人目(名無し)も女の子だった。

しかも、ウソのからくりがオリバーにバレ、遺産引き継ぎの話は泡と消えた…。
その事で、自分勝手な怒りの矛先は名無しに向いてしまったのだ。


『〜〜〜〜!!!』

「止めて!!名無しに罪はないでしょ!!」

名無しに手を挙げるのを止めに入る母メアリー。
それは日常茶飯事の事だった。

身体には幾つもの痣が出来ており、心身ともに疲れ果てた名無し。

当然、メアリーは名無しと共に屋敷を出ようと試みたが、いつも失敗に終わっていた。


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あきゅろす。
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