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JUSTICE And PIRATES
惨劇
『…これ嫌!暑苦しいから脱ぎたい!!』

「ダメだ!我慢しなさい!!」

シャボンディ諸島に向かう船の中、名無し2が着せられたのは、見るからに動きづらい宇宙服のようなものだった。
顔の部分は透明な膜で覆われていた為、視界には問題ない。

アンデルの説明によると、下々民と同じ空気を吸わない為に着用するとの事。

普段から、下々民は汚れているだのと散々聞かされてきた名無し2だったが、なぜそこまで差別するのかは分からないでいた。




シャボンディ諸島に到着した名無し2達は船を降り、ヒューマンショップを目指した。



「おいっ、マズイぞ…早く土下座しろ!」

どこからか、そんな声が聞こえてきたかと思うと、道行く人々が一斉に頭を地に付け、土下座をし始める。
その光景に名無し2は違和感を覚えた。

『…………。』



土下座をする人々の中しばらく歩いていると、1人の男が建物の影から飛び出してきたかと思うと、名無し2達の目の前を通り過ぎていった。
別に何でもない光景。
しかし…


ドキュン!

アンデルがその男めがけて銃を発砲した。銃弾は男の足を直撃、男はその場に倒れた。

周りの人々からは悲鳴が挙がるが、誰も男を助けようとしない。

『おとーさま酷い!あの人が何を…「お前は黙りなさい!!」

名無し2を一喝したアンデルは、つかつかと男に歩み寄って冷たくいい放つ。

「貴様は下々民のクセに、頭も下げないで黙って通り過ぎるなんていい度胸だ…。」

「も…、申し訳ありません…!つ、妻が心臓発作を起こして倒れて…それで、医者を呼びに…」

男は涙ながらに詫びているが、アンデルは無表情のまま。

「…………。」

ジャキンと男のこめかみに銃を突きつけたアンデルは、更に続けた。

「そんなの知った事か、貴様ら下々民の命と我々への礼儀、どっちが大事か…。」

「も、も申し訳ありませんっ…!どうか見逃して下さい!!どうか……ぐはぁっ!!!」

男が言い終わらない内にアンデルは、銃をぶっ放して男を射殺した。

「ふん!自業自得だ馬鹿め!!」


『…………!!』

名無し2は寒気がした。頭を下げなかったから?そんなつまらない理由で、いとも簡単に人を殺めるのか…。

そもそも、自分達と下々民と呼ばれる人々はどこがどう違うのか、同じ人間ではないのか…?
その事が深く名無し2の心に刻まれていった。



「うわぁ〜ん、パパ〜!!」

「父さん!!」

アンデルに殺された男の子供と思われる男の子と女の子が、事切れた男の亡骸にすがって泣きじゃくっている。

すると、女の子の方が周りが止めるのも聞かず、こちらに走って来た。

「うわぁ〜ん、酷いよ〜!!パパを返して〜〜!!」

「黙れクソガキ!!」

バキュン!!

アンデルはまたしても、自身の銃をぶっ放した。撃たれた女の子は即死…。

「あいつ………!!」

その光景を目の当たりにした男の子は、怒りに震えアンデルに飛びかかろうとしたが…

「ボウズ、気持ちは分かる!でも、止めとけ!!」

周りの人々に抑え込まれ、動けないでいた。



「どいつもこいつも、下々民の分際で…」

不機嫌MAXのアンデルはその場を立ち去り、苦しい表情のメアリーもそれに続いた。

父親を殺された上に、目の前で妹まで殺された男の子の目は、怒りと激しい憎悪で赤く血走っていた。

『…………。』

「……………!!」
名無し2と男の子の視線がぶつかった。
相変わらず憎しみで血走った目をして、こちらを睨みつけてくる男の子…。

『…あの……。』

名無し2は声をかけようとしたが…


「許さない…絶対許さない……!!よくも父さんと妹を……!!!
死んでも許さない…!!復讐してやる…!!必ず……!!!!」

名無し2が直接手を下したのではないにしろ、アンデルの子供である名無し2は復讐の対象となり、名無し2の顔は男の子の脳裏に深く深く焼き付けられた。


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