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ぺるでれら
ぺるでれら A

前回までのあらすじ
カボチャを持ってきたシンデレラ。さて次は…



「猫とネズミだな」
「…捕まえて来いとか言わないっスよね」
「安心しろ。既に配役済だ」
「は、配役…?(近所の野良猫か?)」
「ああ。おーい猫ー、」

…………。

来ませんね。
「猫さーん」
「…は、はーい…えっと、猫、です…」
「里中先輩!うぉその頭…」
「見るな!言うなそれに触れるなー!!」
「オ、オッス…」
あの、後ろでネズミ2人もスタンバってますよ?
「お、長瀬ネズミに一条ネズミ」
「うーす」
「………よぉ」
とうとうコミュキャラまで出してきましたか…って何やってるの長瀬君(同クラス)
「いやぁ、この魔法使いに頼まれてさ。なぁ康?」
「ぅえ?あ、あぁそうだな」
……なんか一条ネズミの様子が変ですね。
「どうした一条?」
「おまっ…(ガシッ)こういうことは先に言っとけ心の準備ってもんがあるんだよ!(ヒソヒソ)」
「何の」
「だから里中さんの……」千枝猫の頭上をチラ見して、


「…………あのネコミミだっ!!」


…猫ですからね。
そのネコミミカチューシャ装着千枝さんは『目撃者が増えた〜〜〜っ』と遠くで悶えています。
「ふぅん…里中、ちょいこっち」
「呼ぶのかこの流れで!?」
「容赦ないな…」
――噂の千枝猫は素直にこちらまで駆け寄ってきました。そして
「うんわかった、この場の全員の記憶をとばしちゃえばいいんだよね!」
…どうやら恥ずかしさのあまりおかしな方向へいったようですね。気持ちはわかるのでキックの素振りはやめましょう。
「違くて、里中。一条が言いたいことあるって」
「はっ!?」
「んむ?な、なに?」
ネコミミの千枝に見つめられ、うろたえる一条ネズミ。
「いや、っええと…」
―――そこに横入りする元凶魔法使い。
「猫なら語尾に『にゃん』をつけるべきだって」
「「んなっ!?」」



「さ、話を進めるぞ」
魔法使いはカボチャを叩いて言いました。
「止めてたのキミだよね…!?」
……ところで男3人の背中に靴跡がついてるのは…触れないほうがいい?

魔法使いはカボチャを中央に置いて、「カボチャを馬車に、鼠を馬に、猫を御者に」と。最後に何かを握り潰す動作をしました「ってペルソナ召――!?」
ぶわーっ!またもや用意してないはずのスモークが全てを覆い隠し「って何この緑の煙!?」「《淀んだ空気》」「げぇっ!!何でそれスか!!」「他にいいスキルなくてな…大丈夫、単独なら害はない」……………。




「――は?何それ無理。てか嫌がらせ?」


煙が晴れていきます。
猫は鞭を持った御者の格好に(しかしネコミミはそのまま)カボチャは馬車に………馬車です。座席つきのおもしろ自転車じゃありません。
あ、馬の2人はサドルに座って待機中です。
「今サドルっつったよね、完全にチャリだよね」
さーてメインのシンデレラは……あれ?「ごまかしたな」…違う違う、ホントにシンデレラどこも変わってないんだけど。
……かわりに登場人物が1人増えてますね。
「ああ、衣裳担当の海老原」
「勝手に紹介しないでくれる?」
……もしやスモークのときに『は?嫌がらせ?』と言っていたのはこの方でしょうか。
「あー、それアタシ。だってさぁコレ!」と、びしっと完二デレラを指差して「コレを可愛くしろとか!無理だから!」
「いや、可愛くとまでは言わないから、せめて見られる程度に」
「それも無理」
「さんざんな言われようだね…」
まぁ文化祭の女装があの出来でしたからね。
「だからよォ」巽君がささやかな抵抗をしています。「俺がシンデレラ役てのがまず無理な…」
「―――いいわ、交渉成立ね」
「じゃあ頼んだ」
「オッケ、次の日曜忘れないでよ?」
…いつのまにか魔法使い側では話がついてますね。
「マジか…」
めずらしくやる気な海老原さんに、哀れシンデレラは引っ張られていきました。



「さ、俺たちは行くか」
魔法使いが馬車の後部座席に乗り込みました。
「え、お城に?まだ完二君戻って来てないよ?」
「時間の都合だ。正しくは文字数の都合だ」
「…何のこと?」
「てかよ、なんで魔法使いも城に来んだ?話じゃここで魔法使いの出番終わりだよな?」と長瀬ネズミ。
「いいだろ?ここに1人でいても暇だし」
「そりゃいいけどよ」
「(ボソッ)それにさっき、りせから『先輩がいないとつまんなーい(pД<q)。゚』ってメールがきたし」
「…そりゃいいけどよ」
こころなしか長瀬ネズミの視線が冷たいです。
「じゃあ、出発すんよー」
御者になった千枝猫が、馬車の先頭に飛び乗りました。3人こぎの自転車に見えますが、あくまで馬車です。
「ってお前なに後ろに座ってんだよ、里中さんと代わ――」
「あ〜いいのいいの一条君。あたしの自慢の足でお城までお連れするぞよ」
「ハハハくるしゅうない」
「お前次の部活んトキ覚えてろよ…!」
そうしてシンデレラ不在のシンデレラ一行は、ようやく………ほんとにようやくですね…お城へと出発しました。


「あ、その前に。おーい完二〜」
「な…なんスかー!?」遠くで着替えながら巽君が返事をしました。
「王子役誰だと思うー?」
「…知らねえよ…」
巽君疲れてきましたね。
「あの人なんだけどな」
「もうなんつーか、誰だろーが驚かな」
「探偵王子」
「ぶはっっっっっ!!」














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あきゅろす。
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