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ぺるでれら
ぺるでれら @

むかしむかし。ヨーロッパのとある国に、シンデレラというたいそう可愛らしい娘が

「ぶっ………くくっ」

おりました。シンデレラはいじわるな継母と

「あははっ…お、お腹いた」

姉たちに、召使いのようにこき使わ

「ひは…っスカートとエプロ、に、似合わなっ…」

れる毎日を送っていました。それでもけなげにシンデレラが――



「だから!なんで俺がシンデレラ役なんだゴラァ!!」

――もとい、完二デレラがいろんな意味で頑張っていましたとさ。




はじまりはじまり




「シンデレラー、シンデレラ!」
姉2人のうち、年下の姉がシンデレラを探していました。
「…なんだりせかよ」
「りせ『お姉様』でしょー。ね、舞踏会に来てくドレスほつれちゃったんだけど」
「ハァ!?バッカかお前こんな上等な服…貸せっ!」
シンデレラは姉の手からドレスをひったくると、慣れた手つきでチクチク縫いはじめました。
「…………。」
始まって早々、物語そっちのけで集中し始めるシンデレラです。
「………むぅ〜」
その間、暇になったりせ姉様は近くのテーブルをつつつーっと指でなぞりました。そうです、姑的なアレです。
そして一言。
「シンデレラぁ〜、このホコリはな〜にぃ?」
「あぁ!?汚れてねぇだろが何言ってんだ」
確かにりせ姉様の指はつるんとキレイなまま。……このシンデレラはずいぶん家事ができるようですね。
「ダメダ・メ〜!シンデレラはそこで〜、『ゴっゴメンナサイお義姉様、今すぐ…!』って涙目で」
「……つかなんでノリノリなんだお前はよ…」


…そんな2人の温度差を見兼ねたのか、ここで新たな登場人物がやってきました。
「あ、雪子お母様ー!」
「わぁ、りせちゃんかわいいね」
(冒頭の爆笑から復帰したらしい)継母と、
「雪子お母様こそ似合ってる〜。―――ね、陽介お姉様!」
「泣いてもいいか…?」
年上の姉でした。もちろん衣裳は女性仕様です。
「大丈〜夫、かわいいよ陽介お姉さまっ」
「うれしくなぁい…」
…そのやりとりを見るシンデレラが、なぜか優しい目をしています。「お互い大変っスね…」とか言ってます。
「あー、つーか天城さぁ…」
「…………」
「天城?」
「…………」
「…天城……………お母様?」
「なぁに?」
「……(えぇー?まじで今回こんなノリなわけ?)」
「どうしたの?」
「いやもういいや…そのピンクのドレス、どっかの城で見覚えがあるな〜って思っただけだか」
「――え?(ゴゴゴゴゴ)」
「うわスイマセン!!もう言わないからペルソナ出さないで!!」



夕刻、継母と姉2人はお城の舞踏会に出かけていきました。
「え、もう出番おわりー?」
「完二君ばっかりずるいと思う」
「俺はさっさとハケたいハケさせて…」
……出かけていきました。
一人残されたシンデレラは、遠くに見えるお城をながめ……ですが、主役が絵にならないのでこのシーンはとばします。
「……じゃ、やらせんなよ」
というわけで魔法使いの登場です!
ビカーーーーー!!
「うぉ眩しっ!」
用意してもない照明の中から、魔法使いが現われました。
「あ、わるい。登場派手にしようと思ってホルス(超光る鳥のペルソナ)連れてきたけどやりすぎた」
「演出自前っスか…」
「魔法使いだからジャックランタンも用意してきたが」
「それはそれで見てぇっス」
魔法使いは準備万端でした。

「言われてみりゃ先輩が適役スかね。俺らの中で一番不思議な力(ペルソナ)持ってるし」
「しかも魔術師コミュはMAXだからな」
「…何言ってるかわからねえっス」
あ、その魔術師さんから苦情が来てます。
『シンデレラに出てくんのって魔女じゃね!?俺らがまた女装させられてんだからお前もみちづ』
「だが断る」
…だそうです魔術師さん。


「というわけでさっさと変身するぞ。まずはカボチャを持って来るんだ」
「え!?いやあるっスけど…食材は女性陣から死守してるんで」
そう言って、シンデレラは黄緑の丸い食べものを持ってきました。

「………」
「………」

キャベツでした。

「………というわけでまずはカボチャを持ってくるんだ」
「……え?いやあるっスすけど…」
どこかの黒子が渡した小道具はスルーされました。














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あきゅろす。
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