逃避行しませんか? 不知火
「……」
机の上にはたくさん積まれた書類。
今からこれを一枚一枚チェックしなきゃならない。
だけど、
「会長?」
「んー?」
「いえ、仕事進んでないみたいだから…」
心配そうにこっちを見る夜久に小さく笑って思いついたように俺は立ち上がって扉に向かう。
「え、え?」っと今度は困った顔をした夜久に向かってニカッと笑いこう言った。
「ちょっと逃避行しちまおうぜ」
2人っきりでさ。
*逃避行しませんか?*
「もう会長ったら!休憩なら休憩って言って下さいよ…」
ビックリしたじゃないですか!
っと俺の隣に座った夜久の手を引き連れて来たのは屋上。
夕方であまり星は見えないが、
休憩にはもってこいの場所だった。
「悪ぃ悪ぃ」
「…会長」
横になった俺の隣で夜久が少し近付いた気がする。
「ん?」
それになんか嬉しくなって、
ポツリと本音をもらしてしまった。
なんか急に星が見たくなったんだ。
この時間ならきっと一番星が見れるだろうし
そう苦笑すると同時に伸ばされた小さな手のひらは俺の頭を優しく撫でた。
「…お疲れ様です。今はゆっくり休んで下さいね」
「…………おう」
自分でもわからないうちに疲れてたんだろう。
優しく微笑む夜久の表情に笑みをもらすと
その後ろでキラリと一番星が輝いた。
せっかくだから、一番星に俺とコイツのキスシーンでも見せてやろうか
(なぁ夜久)(はい?)(や…何でもないわ)(?変な会長…)(だな。自分でもそう思った今。あー…くそ。俺らしくねぇ)(………会長顔真っ赤)(…見るな)
end
付き合う前で日常にありそうなシーン。
きっと会長はつらくても言わないだろうなぁ
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