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星にまつわる






今日は七月七日


七夕だ。


保健室では笹を飾り、

少し呆れられながら、

飾りつけをして

何だかんだ皆で楽しんで

短冊に願い事書いた。







そして現在
午後9時15分





ピリリリリリリ

と銀色の携帯電話の着信音が響いた。









「はい。派出須逸人でございます。」



いつも通りの畏まった口調で電話にでると。



はぁ、と少しため息の後
聞き慣れた愛しい声が伝わってきた。




「アンタ、いつまでたってもその口調なんだな。」



「藤くん?めずらしいね、君が電話してくるなんて。」




「何だよ。用も無くかけちゃダメなのかよ。」






少しむっとしたような拗ねた声に思わず笑みがこぼれる。




「ううん。嬉しいよ。君の事考えてたんだ。」




「‥ん。俺も、声、聞きたくなって。」






普段は素直なじゃない藤だが、
めったにしない電話では些か素直になった。







「ていうか、今、アンタの家の前。」


「え!?」



シャッ、
と部屋のカーテンを開けると
窓の外にはひらひらと手をふる藤の姿があった。












「来ちゃった。」



まるで普段と変わらない様子で、そんなお茶目な彼女のような言葉を発した。








「来ちゃったって、こんな時間に‥、」



「大丈夫。こっそり抜けてきたから。」



「尚更駄目だよ。危ないでしょ。」



「平気。男だし。」



「でも‥、「会いたかったから、嫌だった?」





少しの沈黙、
けれど観念したように、



「嫌じゃないよ。」






少し赤い顔をして告げた。







「ちょっとだけ、顔見たくなって。すぐ帰るから。」






俯きながら
自然と上目で見つめつつ
しおらしい事を言ってみせる。



どきどきと高鳴る胸に戸惑いながら




「‥せっかく来たんだから、お茶でも煎れるよ。」




「‥うん。」






パタリとドアが閉じられる。














空では一年に一度
恋人達の逢瀬の日



地上では一日二度の
恋人としての逢瀬が行われていた。










会いたい気持ちがキラキラと
星空みたいに輝いている。




















七夕ネタ
病魔愛嬌が出現しています。

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あきゅろす。
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