[携帯モード] [URL送信]
爪先に愛をこめて










静まりかえった校舎内。

生徒は皆授業中だ。


けれどそんな静かな廊下を一人歩く生徒の姿がある。

ジャージ姿の藤麓介だ。





ぴたりとある場所の前で立ち止まり、


「せんせー絆創膏ちょうだい。」


言いながらがらりと、保健室の扉を開けた。












「藤くん!?どうしたの!!それ!!」



藤の左足の膝からは血が流れ出していて、白い靴下まで汚していた。



「体育でこけた。」



ひょこひょこと歩いて室内を進む藤に、ハデスは慌てて近づいてそれを支える。



「とにかく一度足を洗おうね。そこに座って。」




長椅子へと座らせると、早々に傷を洗う準備を始める。









藤は、元々運動神経は良いはずだ。
けれどとにかく面倒くさがりなその性格によって、
よく怪我だったり
気絶だったりしてくる事が多い。


そういった意味でも保健室の常連だった。












「此処に来てくれるのは嬉しいけど、怪我は気をつけて欲しいな。」






流水で清めた、血の滲む膝を見ながらハデスが呟く。





「しょうがないだろ。急にボールが飛んできたんだよ。」




濡れた足をタオルで拭かれる様をぼんやりと眺める。




「でも、せっかく綺麗な脚なのに‥。」



「‥男の足に綺麗とか言うなよな。」




恥ずかしいのか、顔を仄かに赤くして身じろぐ藤にハデスは、





「綺麗だよ。」




と言って、その足にキスをした。




「っ!!何してっ!!」




焦る藤を他所に、


膝に、
すねに、
爪先に、


次々とキスをするハデス。


ちゅ、
ちゅ、

と音が立つ度にびくりと藤の身体が震えた。








「君の体に傷が付くのが嫌なんだ。」




ちゅぷ、

と水っぽい音をさせると今度は足の指を舐め始める。



「っく!!」



親指の爪先を口に含まれて、
指の股を舐められて、
土踏まずをツゥ、と舌でなぞられる。


くすぐったいような
甘い感覚にびくびくと震えていると


小指にちゅっ、とキスをされて、






「分かった?どんなに僕が君を愛しいか。」



ひざまづいた姿勢で藤を見上げてそう告げた。











不慣れな感覚に、
顔を真っ赤に染めた藤は、
荒く息をしながら、

言葉も無く
こくりと頷くしか出来なかった。


















その後
普段より少しばかり、
体育の時やる気をだすようになった藤の姿があったとか。







藤君は舐めたくなるような土踏まずの持ち主だという話。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!