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いつでも君を








ある日の放課後


ハデスは例の出張保健室中につき
藤ひとりでベッドに横になって漫画雑誌を読んでいた。



ふと、何気なく目線を上げた先に、シルバーの四角い物体がきらりと光を反射させていた。



「なんだ。先生携帯置きっぱなしじゃん。」


これでは携帯電話の意味が無い。





使い方が分からなかったり、
電話を掛け間違えまくったり、
挙げ句置きっぱなしの放置状態。
つくづく機械文明と相性の悪い男だと、溜息をつきながら





ちょっとした出来心が湧いてきた。



(まぁ、あのハデスだし。何も無いに決まってるけど。)





そう思いながら、ひょいと銀色に光る携帯電話を手に取った。






恋人の携帯チェックするのとか、めんどくせぇ奴。




そう思ってきた藤だったが、
好奇心に勝てずパカリと手の内の携帯電話を開いた。





「‥だよな。」


はぁ。と溜息をついたのは見覚えのある待ち受け画面。


本好が設定した美作のもの。



何の面白みもない携帯電話をコチコチと操作していくと、ふとある箇所で指がとまる。

カメラのデータフォルダ。


そこには数十件の記録があった。



「何撮ってんだ?あいつ。」





カチ


ボタンを押すと同時に藤の体が固まった。





「何だよ。これ‥。」









それは藤の寝顔。
寝顔だけじゃない。
起きている時、
寝転んでいる時、
お茶を飲んでいる時、
授業中の時の写真まである。

全て隠し撮りだ。







毎日何枚も撮影されていてそれが全て保護マークが付けられている。






全く気づかなかった自分も自分だが、恥ずかしさで震えがくる。








と、その時タイミング良く保健室のドアが開く。


「ただいま。藤くん。留守番ありがとう。」


にこにこと笑いながら歩み寄るハデス。


の顔面に思い切り携帯電話を投げつけた。



「アンタ何撮ってんだよ!!」


「痛いよ藤くん、何、「毎日毎日隠し撮りなんか趣味悪りぃぞ!!」



「あ、もしかして、見たの?」


自身の携帯を握りしめてはっと気付くハデス。


「置きっぱなしにしてるからだろ‥。つぅかアンタにどうこう言われたくねぇよ。」

変態みたいなことしやがって
と真っ赤になった顔で怒る藤。


「ごめん。でも嬉しくて。」




「は?」



「授業中とか、休みの日とか、君に会えない時に、写真でも君の姿が見られると、幸せになれるんだ。」


「っつ!!」






嬉しそうに微笑まれて返す言葉もない藤。




本当は恥ずかし過ぎるから全部消去してやりたかったけれど、






「‥せめて人に見られないようにロックかけとけよ。」


とぼそりと呟く事しかできなかった。





















盗撮魔先生!!


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