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雨の日の午後に






「なぁ。せんせぇって子供の時どんなだった?」


寝転んで横に見えるハデスに問う藤。


「どんなって?」


「頭良かったー、とか部活してたーとか。」

「中学の時?」


「ん。そんくらいの時。」


「そうだなぁ。常中に来たのは二年の中に転校してきたんだけど、」


「へぇ。」


「部活はしてなかったな。」


「帰宅部だ。」


「うん。」


「何してんだよ?」


「う〜ん。喧嘩ばっかりしてたかな?」


「え!?すげぇ意外!!」


「‥そうかな?」


「うん。先生って先生になるくらいだし、すっげえ真面目な感じだと思ってた。」


「まぁ、真面目ではあったけど。自分の納得できない事に、暴力でしか訴えられなかったんだね。」


「不良ってこと?」


「むしろ逆かな?『正義の味方』って呼ばれてた。」


「カッコイイじゃん。」


「そうでも無いよ。半分皮肉で言われてた。」


「何で?」


「いい子ぶってるって。」


「あ〜。」


「まぁ。子供の事だしね。」


「ちょっと安心した。」


「どうして?」


「やっぱり先生と先生で会えて良かったって。」


「?」


「‥もしもさ、先生が俺と同じ年で、同じ教室で、一緒に授業受けてたらどうなったのかな?とか、考えて。」


「‥友達になれたかな?」


「はは。分かんねぇ。でもアンタ案外面倒くさそう。」


「面倒くさ!?そ、そうかな‥?」


「それにアンタも、俺の事好きになんなかったろ?」


「そうかな?」


「そうだよ。今のアンタだから好きになったんだ。」


「君が僕を?」


「アンタだってそうだよ。今のアンタだから俺の事好きになったんだろ。」


「そうかな。」


「そうだよ。」


「だったら僕は幸せ者だな。」


「なんで?」


「子供の頃悲しかったことも、苦しかったことも、病魔に罹った事も。君に会うためなら、全て幸せだったと思えるよ。」


「…ばぁか。」


「僕と出会ってくれてありがとう。藤くん。」







アンタが悲しかったことも
アンタが苦しかったことも
チャラにできるくらい幸せにしてやるよ。


なんて恥ずかしくって言えないけど。




「俺も。…ありがと。」



出会ってくれて。

ありがとう。



























ピロートーク風味



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あきゅろす。
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