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「キスなんてしてすみません。けど、これが俺の気持ちです。こんな真似したんですから覚悟は出来てます」
きっと殴られるであろう俺は目を閉じ殴られてもいい態勢にした。
これ以上の事もっとしたいけど、また前の繰り返しになって先輩の心を痛めつけてしまう。
いや、中途半端に嫌われるならとことん嫌われ方がいいのかもしれない。
雪村先輩に殴られるの慣れてるし…。
しかし中々先輩が殴ってこようとしない。
目を薄めて見てみると先輩は不機嫌そうな顔をしてこう言った。
「マジ最悪っ…」
ズキッ―…
仲良くなれたのに裏切ってしまった。
そんな事を言われたら、もう二度と手は出せない。
いや、近付く事さえも出来るはずが無い。
俺―…
完璧に嫌われた――
勢いよく立ち上がり鞄を持って走って先輩の家から飛び出した。
最低だって分かってる!
分かってるよ…、
またあの地獄が始まるって。
そう仕向けさせてしまったのは紛れもない自分。
言い逃れなんてできやしない。
だけど、雪村先輩が好きだから…。
家に帰って直ぐベッドに寝転んだ。
朝の目覚めはいつにも無く最悪だった。
する事も無いし放心状態の俺はせっかくの休日を寝て過ごした。
翌朝目を覚ますと気分は悪いし身体が怠い。
「学校行きたくないなぁ…」
学校に行って先輩に会わす顔がない。
部活もこの際辞めようか。
そんな事ばかりが脳裏に浮かぶ。
だけど、学校行かないとマズいし…。
1年と3年じゃ校舎も違うから会わないよな?
部活も顧問の先生に言って退部届け出せばいいし。
うん、そうしよう!
ごめんなさい雪村先輩。
俺、弱いから貴方から逃げるしかないんです。
軽蔑な眼で見られるのも慣れてますし。
身勝手ですよね?
この先、先輩にどんな仕打ちを受けるか分からないけど、本気で先輩が好きなんです。
だから俺、後悔なんてしてませんから――。
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