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俺様★命令






「庵様、好き嫌いは駄目ですよ!」
俺は長い長方形のテーブルで食事をしている庵の背後で注意する。
器用に人参だけを端に集めて避けているのだ。

「嫌いなんだよ。」

「駄目です!ちゃんと食べて下さい!」

「五月蝿いなー。食べなくても死ぬわけでもないんだし」

子供みたいな言い訳をする庵に亜稀は近くにあったフォークを手に取ると端に寄せられている人参を刺した

「うわッ!!何すんだよッ」

「ガキじゃあるまいし、好き嫌いすんじゃねーよッ!」
庵の口を開けて無理やり食べさせようとする。
周りのメイド達が目を大きくしてビックリしていた。

「やっ、やめろよッ!俺を誰だと思ってんだッ」
ジタバタと暴れる庵に刺した人参を口に運ぶ。

「今は、好き嫌いしてるガキだろ!」

――むぐっ―…

無理矢理捩じ込まれた人参をゴクンと身体の中に流し込んだ。

「テメーッ!!」
庵は怒って亜稀の胸ぐらを掴んだ。

「よしよし、ちゃんと食べれたじゃないか」
亜稀は庵の頭をよしよし、と撫でて満足に微笑んだ。

拍子抜けした庵は、掴んでいた手の力が抜け離した。

子供をあやす様な亜稀に庵は何だか恥ずかしくなり少しばかり顔を赤くした。

「これからは、ちゃんと食べれるな」
ニコニコと笑顔で自分を見る亜稀に庵は赤く蒸気した頬を膨らませながら、
『多分…』
と言った。


「うん、偉いぞ」
素直じゃねーな。
まぁ、分かってくれたみたいだし良しとするか!

そんな光景を周りのメイド達は安心したかのように笑顔が戻る。

「…お前って、姑みたい」

「姑ッ!?」
ちょっとショックだった俺は凹んでしまった。

「でも、お前みたいな奴嫌いじゃ…無い」

「そっか!嫌われなくて良かった!」
俺が笑うと庵は目を反らした。
照れ隠しなんだろうか?











「じゃあ、行って来る」

「行ってらっしゃいませ、庵様」
リムジンに乗せられ学校に向かって行った。

高校生がリムジンで学校かよ…。
ませてんなぁ〜…。

俺は見送りが終わると屋敷に戻って部屋の片付けをする。

「北上様」
部屋を掃除しているとメイドの女の子が話し掛けてきた。



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