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突発
海賊夢その2




 自称神様は、自分のせいでつきてしまった私の命の残りを、別の世界でやり直させてやる、と言った。


「え、ってことは、この事故をなかったことにはできないの?」
「申し訳ないことじゃが……」


 狐の姿のまましゅんとされるとまじ可愛い。何でも許したくなる。


 まあ、私自身、飛び出した時点で狐は無事でも私はああ終わったなとは思った。
 両方助かるほど、私は運動神経はよくない。それが、違う世界とはいえ……いやむしろ違う世界で、やり直せるならもうけものだ。



「いいよ、その条件で許す」
「本当か」
「ああでももう四つ、条件を付けたいな」
「たった四つでいいのか」
「うん」



 行き当たりばったりの条件でその先生きていけるかは分からないが、まあそんな危険な世界にはいかないだろう。と、勝手に解釈してみる。


「一つ、私に超人レベルの身体能力を与えること。例えば、全力疾走したら水面走れるくらい。
でもこれから行く世界が戦闘のいらない世界ならこの能力はいらない」
「ふむ」
「二つ、時間を操る力をあたえること。使用に関する条件は認める」
「なるほど」
「三つ、空間、出来れば時空をも移動する能力を与えること。
前に同じく使用に関する条件は認める。これはもし二つに分けないといけないなら四つ目はいらないけど」
「……考えたな。いいじゃろう。一つでカウントしてやるわい」
「わ、ラッキー! じゃあ四つ目、みたいものを見れる能力を与えること。
みたいもの、には霊的なものや、肉眼で見えないほど小さなもの全てを含むこと。――どう?」


 自称神様はため息を吐きながら、ちゃっかりしたやつだ、と呟いた。
 聞こえてますけど!


「では条件を決めよう。時間を操る能力の条件は作用時間と距離じゃ。
操る対象が自身や自身に触れていれば、作用は半永久的じゃが、この世界で言う地球の裏側、まで離れると作用は一分で切れる。
広範囲に対して使う場合は一番遠い対象の作用時間が適用される」
「いいよ。使うかどうかも分からないし」
「空間、時空を移動する能力の条件は回数と規模じゃ。
今回のような世界自体を移動するようなものは、行った先の世界基準で五年に一回しか使用できん。
同じ世界内で空間の移動をするのは、一日十回までじゃ」
「オッケー」



 これでもかなりサービスしている、と自称神様は言った。たった四つかって言ったのはあんただ。


 しかし、だ。不安なことがひとつできた。
 自称神様が、一つ目の条件を認めたことだ。
 これは暗に、これから行くことになる世界に争いがあることを示しているようなものだ。
 いくら超人になるとはいえ、実戦経験ゼロの私に、最低5年もの年月を過ごすことができるのだろうか。

「……いや」

 自称神様はやっぱりだめだ、と首を振った。

「何がだめなの?」
「時空を超える力はやはり与えられん。人間に与えるには大きすぎる」
「え」

 なんてこった。大どんでん返しだ。
 たとえこの先の世界が危険でも、5年後には安全な世界に行こうと思った計画が。

「そのかわり、といっては何だが、空間の移動に関する制限をやめよう」
「……まあ、いいよそれで」

 とりあえず、私は一度ここで死んだ。
 やりなおせるだけもうけもんだ、とさっきも思ったじゃないか。
 やめよう。諦めがいいのが私だ。
 行った先ですぐ死んだとしても、それまでだったということだ。

「安心しろ」
「え」
「これから行く世界は、おんしもよく知っている世界じゃ」

 は、という前に、目の前は光に包まれた。



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海賊夢と言いつつさっぱりキャラは出てこない

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