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グリシーヌ誕


今日は4月18日。
フランスの名門貴族ブルーメール家の一人娘、グリシーヌ・ブルーメールにとって特別な日だった。
そう、彼女の誕生日だ。

毎年この日はグリシーヌの為に多くの上流階級の貴族たちが集まり、ブルーメール邸で誕生日パーティーが行われていた。


テーブルに並べられた最高級のディナーと年代物のワインやシャンパンにダンス。
もちろん贈られる品物は全て高級品。
普通では見られないような、優雅な誕生日を送っていた。


パーティーも終わり、自室へ戻るグリシーヌ。
最近ん戦いが多かった為久しぶりの社交場に疲れたのか、着替える気にもなくドレスのままベッドに倒れこんだ。
ちらっと横目で時計を見ると時刻は23時45分。
もうすぐで日付が変わる時間にグリシーヌは小さくため息をついた。


ため息の理由は一つ。
一番祝って欲しい人にまだ会っていないのだ。
その祝ってほしい人とは、グリシーヌの恋人であるロベリア・カルリーニだ。


自分にとって一番特別な日くらい大切な人と一緒にいたいと思うのはの普通の考えで。
でも今日はロベリアと会えない。
なぜなら今日は月曜日だから。

元・犯罪者であるロベリアは服役中の為外出が許可される週末にしか会う事が出来ない。
誕生日が週末でない事は前からわかっていたことだ。


第一、あのロベリアが自分の誕生日など祝ってくれるはずがない。
覚えているかどうかも怪しいところだ、とグリシーヌは思う。


それでも。
それでも少しだけ期待していた自分もいた。
…もしかしたら、今からでも来てくれるかもしれない。

そんな考えが頭をよぎったが、もう一度時計を見ると既に55分を過ぎていた。
それを見て一瞬寂しくなったが、もう考えるのはやめようと諦めたグリシーヌは着替えようと体を起こす。


ふと、テーブルの方へ目を向けると見慣れない小さな箱が置いてあった。
グリシーヌはテーブルに近づき、箱を手にすると。


「…やっと気づいたか」
「!?」

突然聞こえた声に反射的に体を強ばらせ振りかえると、窓には月夜に照らされた銀髪の女性が立っていた。
一番誰よりも会いたかった恋人の姿を見て、驚きを隠せないグリシーヌを気にせず近づいて彼女の前に立つロベリア。


「あまりに気付くのが遅いから日付が変わっちまうかと思ったぜ」
「…ど、うして…」


やっと出た声で問うグリシーヌ。


「今日はアンタの誕生日じゃないか」
「!覚えていたのか!?」
「当たり前だろう?だからわざわざ抜け出してきてやったんだろーが」

グリシーヌのさらさらな髪を梳くように撫でながら微笑むロベリア。

それだけでグリシーヌは目頭が熱くなり、それを隠すようにロベリアに抱きついた。
ロベリアも抱き締め返すようにグリシーヌの首に腕を回す。

「…こないかと思っていたぞ、バカ者…」
「アンタがプレゼントに気付くのが遅かったからだろうが」
「プレゼント…?」


グリシーヌは手に持ったままのプレゼントを見る。
どうやらあれはロベリアが用意した物らしい。

「開けてみな」

ロベリアに言われてグリシーヌはラッピングの紙を綺麗に剥がす。
蓋を開けると入っていたのは、ピンキー用のシンプルなシルバーリング。

宝石もなにも付いていないが、見るだけでとてもいい素材を使っているのがわかる。


「これは…」
「たまたま寄った店でそれが目に入ってね。アンタに似合うと思ったんだ」

ロベリアはリングを手に取ると、グリシーヌの左手を添えるように掴み小指にゆっくりと通す。
サイズはぴったりだった。

「よくサイズがわかったな」
「触り慣れてるからな」

当たり前の様に言うロベリアの言葉に顔を赤くするグリシーヌ。

その表情を見て嬉しそうに口角をあげ、左手の甲にキスをする。

唇が触れた場所が熱を帯び、全身に広がる。
グリシーヌの心臓の音はうるさいくらい高鳴っていて。
顔はさっきよりも赤く、燃えるように熱い。

期待通りの反応にロベリアは目を細め、今度はグリシーヌの顎に手を添えゆっくりと顔を近づける。




「Bon,Anniversire...」



重なる唇を合図に二人だけの甘い夜が始まる。





**********
という事でグリ誕SSでした!
これを書くまでに何度書きなおした事か…orz
おかげでノート半分使いました(無駄遣い)

そのくせあんまり書きたいように書けませんでしたが、甘―いよコノヤロウ!
と少しでも思って頂けたら幸いです。

最後に誕生日おめでとう!大好きだよ!

2011.04.18


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