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甘いチョコより甘い君


「ねぇ、今月は何があるか知ってる?」

いつものように女部屋のソファにもたれかかりながら読書をしているロビン。
頭上から聞こえる質問に目線を本から質問者に、そしてカレンダーへ移した。

「…ハロウィンかしら?」
「正解!」

ナミは嬉しそうにニコッと笑った。

ハロウィンとははるか遠くの国から伝わる民族行事で、毎年この月の末に子供たちが魔女やお化けの恰好をしながらお菓子を貰いにいくらしい。

オハラに住んでいた頃、大人達が仮装をした子供にお菓子を配っていた事を思い出した。
もっとも妖怪だのと忌み嫌われていたロビンには縁のない話だったが。


「ロビン、トリックオアトリート?」

ナミは悪戯っ子の様な笑みでロビンに右手を差し出す。
ハロウィンではお菓子を貰う時に"トリックオアトリート"と唱えなければならないらしい。


今日は31日ではないのでハロウィンではない。
ロビンはつっこみたくなったがあえて言わず、持っていた本をテーブルに置き胸ポケットから小さなチョコーレートを取り出して、差し出された手に置いた。

渡されたチョコを見て不服そうに頬を膨らませるナミ。


「…なんで持ってるのよ」
「チョコじゃ嫌だったかしら?」
「いやそういう意味じゃなくて…」

欲しいと言われた物をあげて何が不満なのか大体予想はつく。
ナミはわざとらしいくらいに盛大にため息をついて、貰ったチョコの包み紙を取り口に運ぶ。

「ナミ」
「んー?」

名前を呼ばれて運ぶ手を止め声の主を見れば、妖しい笑みを浮かべて言う。


「トリックオアトリート?」
「へ?」

ナミはまさか自分も言われると思わなかったのか、目をぱちくりさせている。
そして慌てて空いている方の手でポケットの中を探るが、持っていなかったらしい。


「ち、ちょっと待って!棚に飴が置いてあるから…」
「駄目よ、時間切れ」
「ま、待ってロビ…」

逃げようとするナミの腕を自分の方へ引っ張ると、バランスを崩して縮まる距離。
ナミは身を引こうとするが、ロビンの手が腰に回っているため動けない。
口に運ばれぬままのチョコをロビンは口に咥えそのまま唇を重ねた。


「っ……!」

半開きだったナミの口にチョコと舌を一緒に入れる。
口内を下で掻き回せば、甘い吐息とチョコの香りが耳と鼻をくすぐる。

満足のいくまで口づけると、ようやく唇を離した。

顔を真っ赤にしながら目を潤ませ呼吸を整える姿に満足そうに笑うロビン。
そして今度は白い首筋に噛みついた。





"トリックオアトリート
お菓子くれなきゃ悪戯するよ"




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早いですがハロウィン話。
ロビン姉さんはドラキュラなイメージ。
悪い子には噛みついて悪戯されてしまうのです(笑)

2011.10.11



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あきゅろす。
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