雨の日
2
俺が死んだのは丁度1年前だった。
梅雨入りの時期なので、今日のようにあの日も雨が降っていた。
アイツは部活で、帰宅部だった俺は1人で帰り道を歩いていた。
いつもと変わらない、そんな日に何故俺が死んだのか。
運が悪かった、としか言いようがない。
たまたまいつもと違う道を通って、たまたま右じゃなく左を歩いてて、たまたま雨が降っていて視界が悪くなっていて、たまたま酒を飲んだ運転手がそこを通っただけ。
ほんと、自分でも笑っちゃうくらい運がないなぁって思った時には空を飛んでいた。文字通り、吹っ飛ばされた。5メートルくらいかなって考えて、あ、死んだなって思った。不思議と走馬灯とかは無くて、ただ、冷蔵庫の中にとっておいたプリンだけが気残りだと思った。
次に気が付いた時には自分の葬式の最中だった。
あ、やっぱ死んだんだなぁと思って、自分の葬式にどんな奴が参加してるのかが気になった。
黒い服を身に付けた人々の中には、両親と弟の姿が見えた。年の離れた弟は何が起きたのか分かってないのだろう。辺りを見渡して落ち着きがない。父は落ち着いた様子で真っ直ぐ前を見つめているが、母は目元をハンカチで押さえ、泣いているようだった。よく見れば父の目の下にはクマが出来ている。2人には申し訳ないことをした。俺の分、弟を可愛がって欲しい。
黒い服を着た人々の中には俺の学校の制服を着た奴らも混ざっていた。俺は自然と親友であるアイツの姿を探した。
いない。
薄情な奴だ、親友の最後を見届けに来ないとは。
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