「みんなぁー、ご飯出来たわよ〜!」
屋敷の中に特徴的な声が響きわたった。
恐らく、声の主はルッスーリア。
「丁度いーや。他の奴らにもさくら紹介するから食堂行こーぜ」
「お腹空きましたねーどっかの堕王子のせいでおやつ食べ損ねましたからー」
「死ねよっ」
「嫌ですー」
いつものどつき合いを横目で見ながら、スクアーロさんの隣を歩く。
そう言えば、私まだルッスーリアやレヴィには会ってないんだよね。
「あの、スクアーロさん。私なんかが皆さんとのお食事の中に入って良いんですか?」
「気にすんな、男ばかりの職場でむさ苦しかったからなぁ。
女が、しかも一般の人間が入るだけで空気が和らぐだろ」
「てめーが言うと変態にしか聞こえねーよ、ししっ」
ベルさんが横から茶々を入れると、スクアーロさんは顔を真っ赤にして怒る。
「う゛お゛おい!どおいう意味だぁ!!」
「うるせーよカス鮫」
2人のやりとりが面白くて、私はついくすくすと笑う。
ベルさんとスクアーロさんは不思議そうに私を見るが、やがて呆れたように微笑んで見せた。
私がスクアーロさんやベルさん、フランさんに連れられて食堂に入ると、ルッスーリアらしき人がこっちを見て首を傾げた。
髪型といいサングラスといい、間近で見るとなかなかに迫力がある。
「スクちゃん、その女の子だあれ?」
「庭で拾ったんだぁ」
拾った、ってあんた。
「こいつが言うには、異世界から来たらしいがな」
唐突に背後から聞こえた低い声。
「ザンザスさん」
「さくら…この屋敷には慣れたか」
ザンザスさんの問いに私は小さく頷いた。
「…はい、少しだけ」
「そうか」
言葉少なに、でも優しく声をかけてくれるザンザスさん。
皆から恐れられてはいるけど、実は優しいひとなんじゃないかと、私は直感的に思った。
超直感なんてないけれど。
みんな、あたたかい
(さくらちゃんって言うのね!食器もう1セット出してくるわ)
(あっありがとうございます、ルッスーリアさん)
(ぬ…妖艶d(ししっ、きめーよ変態雷オヤジ)
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