Target-05:Nice to meet you!


「よう」

「!」


スクアーロさんと、ボスの部屋から出た途端に、すぐそばで声がした。
驚いて振り向けば、壁にもたれていたのは金髪の前髪で両目を隠した少年。

ベルフェゴールだ。


「お前、今日からここで暮らすんだって?
ししっ、お前かわいーし王子の姫にしてやってもいいぜ」

「…は…?」


意味が分からずに聞き返すと、ベルフェゴールは私の肩に腕を回して来た。
ちょっと待って、顔近っ!


「お前今日から王子の姫けってーな♪
あ、俺ベルフェゴール。ベルでいーぜ」


なんて強引な。つーかやっぱり顔近っ!


「や、あの、ベル…さんっ!
わわ私、姫とかそんな、えっと」

「ししっ、動揺してんの?かーわいっ♪」


からかってんのか。
スクアーロさんに助けを求めようとしたが、スクアーロさんは明らかにそっぽを向いている。
慣れっこなのか、関わりたくないのか。


「ベルセンパーイ、その辺にして置かないと、この女の顔真っ赤ですよー」

「やだね。だってオレ王子だもん」

「ミーだってまだ自己紹介済んでないんですからねー。
ったく、あとで残りのメンバーにもこの女のコト知らせなきゃいけないのにー」

「ちぇっ、ま、いーや。後でたっぷり遊んでやるよ」


丁重にお断りしたい。
彼の「遊ぶ」という言葉はどうも信用できない。

動悸が落ち着いてきた所で、私はカエルの被り物を被った少年…フランに向き直る。


「…あなたは?」


私はこの人を知っているが、この人は私がこの人を知っている事を知らない…って、あれ?
なんか頭こんがらがってきた。


「ミーはフランって言いますー。先ほどは堕王子がセクハラしてすみませんでしたー」

「誰がセクハラだカエルっ」

「ゲロッ」


ベルフェゴールがナイフを投げると、フランは痛そうな声を上げる。
えっ、思いきり刺さってますけど!い、痛くないのかな…!

「べべべベルフェゴールさん!そんな物騒な物しまって下さいっ」


私が必死にそう言うと、ベルフェゴールはキョトンとした。
漫画で読んでいなければ、ナイフがフランに刺さっただけで私は卒倒していたに違いない。
今の今まで忘れていたが彼らは暗殺を生業としている。
こんな事は日常茶飯事なのだろう。


「おいカス鮫、さくらにオレらの仕事言った?」

「まだ言ってねぇ…一般人のあいつにとって俺達の仕事は酷(こく)すぎんだろぉ。
隠せんなら隠しておくのが、あいつの為にも良い」

「ししっ、賛成♪」


ベルさんとスクアーロさんが小声で何か話していたが、私には聞こえなかった。



Nice to meet you!





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