アジトからの脱出に成功した綱吉たち。
しかし、このまま街を彷徨っていてはすでにどこかに潜伏しているかもしれない真六弔花に見つかる可能性が高い。
隠れ場所を探さなければならないのだ。
「でしたら、ハルにいい考えがあります!
知り合いに不動産屋のおばあちゃんがいるんです」
庶民的だが、案外盲点かもしれないということで、リボーンの一言でハルの知り合いがやっていると言う不動産屋へ行く事にする。
移動を始めようとしたその矢先、大きな地響きを感じた。
「アジトの出口からです!」
「伏せろ!」
次の瞬間、アジトの出口が大きな音を立てて爆発した。
さくらの頭に、中でザクロと戦っているはずのスクアーロのことがよぎる。
『うお゙ぉ゙い…!!』
突然、無線からスクアーロの声が聞こえる。
思わず身を固めるさくら。
僅かに聞こえる、スクアーロの乱れた呼吸に、ドクドクと心臓がうるさく鳴った。
『…思ったより、早くケリがつく……ここから…少しでも遠くに逃げろ…』
「スクアーロさん!?無事、なんですか…?」
『…お前は、自分の心配だけしてろぉ…』
さくらの問いかけに無事だ、とも心配するな、とも言わないスクアーロ。
それだけで、彼の身に何か起こったということは明らかだった。
再び地下から大きな爆音が聞こえる。
無線越しにザクロがスクアーロに何か言っているのが聞こえたが、内容までは聞き取れなかった。
不意にスクアーロがさくらの名前を呼ぶ。
『さくら』
「スクアーロ、さん?」
普段の彼からは想像もできない小さな声で呟かれた言葉。
『―――――』
「!!!」
さくらが耳につけているのは、ヴァリアーだけが繋がっている無線。
さくらは通信を繋いでいたくて必死にスクアーロの名を呼ぶが、それっきり、無線は途切れた。
『生きろ』
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