並盛に帰ってきた綱吉たち。
さくらにとっては初めての並盛だ。
ゆっくり街を見てみたい気持ちもあったが、いつ白蘭が追ってくるかわからない状態だ。
一先ずボンゴレのアジトに身を隠すことにする。
「イタリアと連絡を取る。さくらも顔くらい見せてやれぇ」
そういって、スクアーロはアジトにあるモニターつきの通信機を立ち上げる。
画面に映し出されたのは懐かしい顔。
「ルッスーリアさん!」
『あら、さくらちゃん!良かったぁ、無事だったのね〜!』
「おいルッスーリア、今すぐ腕の立つ奴を日本へ送れぇ!敵の主力がこの並盛に集まって来てるんだぞぉ」
スクアーロの言葉で状況を把握したらしい。
ルッスーリアの声のトーンがわずかに下がった。
『…それはとってもソソる話だけど。
ヴァリアーは今各地でのミルフィオーレとの戦いの後始末やらでてんてこまいなのよ』
「んなの後回しにしろぉ!フランはどーした?奴の幻術は必要だぁ」
『あの子たしか女の所にいくって言ってたわね』
「女だぁ?」
『ん…あら?』
突然、モニターの映像が乱れたかと思うとブッツリと切れた。
その瞬間、アジト内の警報がけたたましく鳴り響く。
「な…何?」
「さくら…俺から離れるな」
スクアーロの声に殺気がこもる。
さくらが慌ててスクアーロに寄ると、スクアーロはその小さな手を握った。
遠くで爆発音が響く。
アジトが安全な場所でなくなったことは確かだ。
スクアーロは、険しい顔のまま、さくらの手を引いて通信室を出る。
廊下には、既に綱吉たちも集まっていた。
「うお゙ぉい!何事だぁ?」
その瞬間、背後の壁が爆発する。
同時に鋭い殺気を感じてスクアーロが振り返ると、そこにいたのは。
「…ザクロ」
「バーロー見つけたぜ、ユニ様にさくら」
さくらがその名前を呟く。
真六弔花の一人、ザクロ。
チョイスに参加していない彼の戦闘能力はまったくもって未知数だ。
ザクロはじっとさくらを睨めつける。
無遠慮な視線に身構えるさくらと、戦闘態勢を取るスクアーロ。
おもむろにザクロは口を開いた。
「よぉさくら、元気だったか?お前がそっち側についちまったから白蘭様が寂しがってたぜ」
「え…?」
「野郎、ふざけやがって!」
親しげに話しかけてくるザクロに獄寺が怒りの表情を露にする。
山本も苦笑いしながらリングに雨の炎を灯した。
しかし、スクアーロはそれを制する。
「てめーらじゃ役に立たねぇ。さくらとユニを連れてここから去れ」
「スクアーロさん…!?」
相手は真六弔花だ。
一人で相手をするには無理がありすぎる。誰もがそう思った。
しかし山本はそうではなかったらしい。
「行こうぜ。スクアーロが大丈夫ってんなら大丈夫だ」
「山本さん…」
「わ…わかった。行こうみんな!」
綱吉の合図で一斉に走り出す。
ザクロがそれを阻止しにかかったが、スクアーロの匣兵器によりそれは妨げられた。
スクアーロの元を去る間際、さくらは後ろを振り返る。
「…死なないで下さい」
「誰に向かって物言ってんだぁ、さくら」
「……」
綱吉に促され、さくらは拳をきつく握って走り出した。
スコープに映る標的
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