スクアーロ…さんは、異世界から来たという私の話を信じてくれたようで、痛い程の殺気を解いてくれた。
安心したのも束の間、スクアーロさんの言葉で、また私は恐怖に身を震わせた。
「ボスの所に連れて行ってやる」
確実に殺されると思って私は死を覚悟した。
ところが、意外にもボスであるザンザスは
「好きにしろ」
と言ってくれた。
てっきり殺されると思った私は、安堵から溜め息をつく。
「おい、カス女」
ザンザスが短く私を呼ぶ。
ってか、カスって。
「その異世界とやらに帰る方法はあんのか」
「……ない、です」
そう言った私の声は震えていた。
恐怖からではない。
悲しみ、寂しさ、無力感。
そんな感情が入り混じり、声を震えさせたのだ。
そんな私に、ザンザスは少し表情を緩めて言った。
「帰る方法が分かるまでは、ここを家だと思え」
―――うそ。
ザンザスが…あの傍若無人で暴漢なザンザスが。
いきなり飛び込んできた、いかにも怪しい私なんかにそんな優しい言葉を掛けてくれるなんて。
「…っ、ありがとうございます!」
笑顔でそう言ったら、顔を逸らされた。
照れたのかな?
冷静に考えたら、REBORNの世界にトリップしたって、かなりラッキーな事かもしれない。
こうして、私のヴァリアーでの生活が始まった。
風向きは悪くない
(ベルセンパーイ、覗き見なんて悪趣味ですー)
(ししっ、ジャッポネーゼの女だ。結構かわいーぜ)
(まぁ、ミーもそれは否定しませんがー)
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