Target-47:強くて、弱い



―――私を守ってください


ユニの唐突な「お願い」に綱吉は混乱した。
彼女はブラックスペルのボスだとリボーンが言っていた。
そんな彼女が自分に守って欲しいと懇願する理由がわからない。


「私だけではありません…さくらさんや、この仲間のおしゃぶりと共に」


そう言ってユニが出したのはアルコバレーノのおしゃぶりだった。
アルコバレーノが死に、白蘭に奪い取られたはずのおしゃぶりをユニが持ち出していたのだ。


「勝手に持ち出しちゃ駄目じゃないか。
それは僕の7з<トゥリニセッテ>コレクションだ」

「違います…これは私が預かったものです。
それに、あなたが持っていてもそれは7з<トゥリニセッテ>とは言えません。
なぜなら、おしゃぶりは魂なくしては存在意義を示さないからです」


ユニがそう言った途端、おしゃぶりが明るく輝きだした。

これまでに綱吉は幾度かリボーンのおしゃぶりが光るのを見たことがあるが、それとは比べものにならないほど明るく、澄んだ輝きを持っている。
そしてそれは、紛れもなくユニによってもたらされた光だった。


「なるほど…そういうわけか。すごいよユニちゃん、やればできるじゃないか!
やっぱり僕には君が必要だ。さあ仲直りしよう」

「こないで!」


おしゃぶりの光を見て目の色が変わった白蘭に、きっぱりとユニは拒絶の意を示す。


「もう、あなたに私たちの魂を預けるわけにはいきません。
白蘭、なぜあなたが私を欲しているかはわかっています。
だからこそあなたの元へ帰ることはできませんし、さくらさんを渡すこともできません」

「…ふぅん」


白蘭とユニの話についていけていない綱吉たちはその場に立ち尽くすことしかできない。
ユニには白蘭がさくらにこだわるその理由もわかっているようだった。
さくらはこわごわと口を開くとユニに尋ねた。


「ユニさん、なんでそんなに私を…?」

「…あなた自身とクオーレリングの力は、全属性ゆえに強くもあり、弱くもあるのです。
だから白蘭はあなたを手に入れようとしたのでしょう。
さくらさん…絶対に白蘭の手にあなたとクオーレリングが渡ってはいけません」

「え…どういう意味―――」


さくらが再び聞き返す前に、白蘭がそれを遮る。


「ユニ。キミがおしゃぶりやさくらちゃんと一緒に逃げるのなら、世界の果てまで追いかけて奪うだけだよ。
綱吉クンに助けを求めても、その肝心の白馬の王子様はビビっちゃってるみたいだし」

「!」


白蘭がユニに手を伸ばすとユニはびくり、と体を強張らせる。
さくらはとっさに、腕を広げて白蘭とユニの間に立ちはだかるように身体を滑り込ませた。








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あきゅろす。
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