「そうそう、バトルを始める前に公平にジャッジする審判を紹介しないとね」
白蘭が言った瞬間、二つの人影が綱吉たちの前に現れる。
それはヴァリアーとのリング争奪戦の時にも審判をしていた、チェルベッロ機関だった。
ミルフィオーレのチェルベッロ機関と名乗った彼女たちに、隼人が不満げに声を荒げる。
「ざけんな!どのみち敵の息のかかった審判じゃねーか」
「この子たちは公平だよ、それがとりえなんだから。
それよりズルをしているのは君達じゃないのかい?」
「え…?」
身に覚えがない白蘭の言葉を聞いて綱吉は思わず聞き返した。
そこへ桔梗が続ける。
「99.99%の殺気を消しているのは見事としか言いようがありませんが、わずかに0.001%、あなた方の基地ユニットから人の気配を感じます」
しかし、綱吉たちと共に並盛神社に集合したのは今この場にいるメンバーで全員のはずである。
桔梗が言う「人の気配」に心当たりがなかった。
その時、基地ユニットから舌打ちの音と同時に人影が現れる。
「………!!」
その人影を目に捉えたさくらは驚いて口を覆った。
ずっと会いたかった人物の姿がそこにあった。
それは相手も同じだったようで、切なげな、それでいて慈しむような瞳でさくらを見つめている。
「さくら…」
「スクアーロさんっ!」
たった10日間顔を見ていなかっただけなのに、揺れる銀髪や瞳、そしてもはや見慣れてしまったモノクロの隊服などあらゆるものが懐かしく感じられる。
「へぇ…予想外だったね、まさかヴァリアーとは。
さくらチャンを心配して来ちゃったってことなのかな?」
「うるせぇ」
さくらはすぐにでもスクアーロに駆け寄りたかった。
けれど、さくらの肩を抱く白蘭の手はそれを許さない。
スクアーロが、白蘭を睨みつけるように表情を歪めたのがわかった。
君に触れられない
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