Target-42:この手に全てをのせて



side:Tsunayoshi


「ようこそ、チョイス会場へ」


不意に辺りに響いた声を聞いて、ハッと気づいた俺は自分の目を疑う。
さっきまで俺達は並盛神社にいたはずなのだ。
けれど俺達は今、超高層ビル群の中の一つ、その屋上にいる。
それは一瞬の出来事で、みんなも信じられないといった顔で辺りを見回していた。


「何度もあっているような気がするけど、僕と会うのは初めてかい?綱吉クン」


二度目の声に振り向くと、そこにいたのは、白蘭と真六弔花。
彼らを前にするだけで強烈な威圧感を感じる。戦わなくても、強いということがわかるほどだった。
ふと京子ちゃんたちを見遣ると、やっぱり顔色が悪い。
京子ちゃんやハルも、真六弔花の持つ圧倒的なオーラを敏感に感じとっていた。


「十代目、あそこの女…」


不意に獄寺くんが白蘭や真六弔花の脇を指差しながら耳打ちをしてきた。
目を移すと、うっすらと見覚えのある女の子。

真っ白いワンピースに身を包み、首からリングのようなものを下げた彼女は、以前ヴァリアーとの通信映像に写っていた―――そして今回のチョイスの目的の一つである、さくらという女の子だった。


「じゃあ、次のチョイスを始めようか」


白蘭がそう言って何か装置のようなものを取り出す。
コマのたくさんついた円柱状のそれ―――ジャイロルーレットは、バトル参加者を決定するものだった。
ジャイロルーレットにより、各属性の参加人数が決まる。
俺達のチームには、京子ちゃんやフゥ太といった無属性が2人必要なのだという。
そのとき、正一さんが前に出た。


「白蘭サン…リングを持たない僕は、無属性でいいですよね!」


正一さんの額に冷や汗が流れるのがわかった。
白蘭は愉快そうな顔でそんな正一さんを見つめている。


「―――んん…ま、特別にいいかな」

「だったら綱吉くん、僕らのメンバーは決まりだよ」

「え?」


正一さんの提言で、チョイスの出場メンバーは俺と獄寺くん、山本、そして正一さんとスパナとなる。
お兄さんと雲雀さんは納得いかないようだったけど、正一さんとディーノさんがうまく宥めてくれて二人とも引き下がってくれた。


「前に言ったけど、この盛大なチョイスの勝者の報酬は…僕が今1番欲しいもの、7з<トゥリニセッテ>そして―――」


白蘭が、さくらさんを手前に押し出す。


「全属性のクオーレリングとその唯一の適合者であるさくらチャンだよ」

「……!」


さくらさんが黙ったまま顔を上げ、俺と視線を絡めた。

真っすぐな瞳。それはまるで俺に何かを伝えようとしているようで、俺はどうしたらいいかわからず目を泳がせる。
すると、さくらさんはクス、と笑って俺に会釈をした。


この手に全てをのせて






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あきゅろす。
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