Side:Tsunayoshi
チョイスまであと7日。
京子ちゃんとハルが家事をボイコットして丸一日が経った。
家事と修業を両立させなければならない中、どちらも上手くいかずにストレスが溜まるばかりだ。
夕飯のカップめんを前にして、山本が困ったように笑いながら言う。
「しかし、こーなって初めて気づくよな……オレ達だけじゃロクに修業もできねーって」
「本当だよ…戦いはもう迫って来てるっていうのに…。
ここはやっぱり話すべきなのかも…」
「いかん!!」
オレの言葉を、京子ちゃんのお兄さんが即座に否定する。
「京子になにかあったらどーするのだ!!」
「そ…そーですよね!」
これはオレの、オレ達にとっての意地だった。
京子ちゃんやハルをこれ以上危険な戦いに巻き込むわけにはいかない。
マフィアなんていう殺伐とした世界を見せたくないんだ。
「そういやさ…今回の戦いではあのさくらって子も助けねーとなんだよな」
山本が、カップめんを残ったスープごとかきこみながら思い出したように呟く。
ヴァリアーにいたさくらという女の子。
今は白蘭に捕らわれているその子は、なんでも7з<トゥリニセッテ>と同じぐらいの力を持つリングの持ち主だという。
リボーン曰く、あの子一人の力で即座に世界を滅ぼすこともできるらしい。
見た目はまるで普通の女の子に見えた彼女。
それだけに、彼女がそんなに大きな力を持っていることに驚いた。
「ヴァリアーがあんな風にオレ達に頼み事をするなんて、よほどあの女が大事なんすかね」
メローネ基地に侵入したあの日、ヴァリアーから来た通信での言葉がずっとオレの耳に残っている。
『さくらのことを頼む』
『傷つけたら承知しませんからー』
『お願い、あの子を助けてちょうだい』
『お前らなんてあてにしてねーけど、今さくらを助けられんのはお前らだけしかいねーし』
『10日後に、ボンゴレが最強だと証明して見せろ』
代わる代わるそう言ってきたヴァリアー達の声は、なんともないようにも思えたけど、オレにはすごく苦しそうに聞こえたんだ。
世界の果てに想い馳せる
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