Target-34:歯車が狂い始める



突然知らされた事実に、さくらは放心状態だった。
指にはめられたこの小さな白い石が、7зと同等のエネルギーを持っている…
すなわち、自分が世界の命運を握っているも同じなのだ。


「そ…そんな…」

「信じられませんか?」


気づけばロッシが手首を拘束していた縄を解いていた。


「白蘭様がさくらを欲しがる理由が、これでわかったでしょう」


自由になった腕で震える体を抑えつけた。


「なんで…私がそんなものを…?」

「あなたが、リングに選ばれた適合者だからです。7зと適合者は引き合う性質を持つ」

「じゃあ…私がこの世界に来たのも…?」

「おそらくは、リングの力によって引き合わされたのでしょう」


さくらにとって、何もかもが信じがたかった。
そもそも、この世界はさくらのいた世界では架空の存在でしかなかったのだ。

漫画に描かれなかったリング。
全ての属性を持った白い炎。
7зとその適合者。
ミルフィオーレファミリーからのスパイ。

すでに、ここはさくらの知るREBORNの世界ではないのだ。
それがたまらなく怖い。
そして、世界の行く末を左右することができるこのリングが怖い。
そのリングに選ばれた自分が怖い。


「いや…っ、嫌だ…いやだ…!」


どんなに抑えつけようとしても、体の震えは止まってくれない。
涙が、乾いた地面にしみを作った。



歯車が狂い始める






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