どれくらい経ったか分からない。
ザンザスさんも私もも黙ったまま、遠くに響く爆音を聞いていた。
そんな中、不意にザンザスさんが口を開く。
「さくら、隠れろ」
「え…」
ザンザスさんは私の腕を掴むと、座っていたチェアの背中に引っ張りこんで隠す。
直後、大きな衝撃と破壊音が城を襲った。
「きゃああっ」
思わず、短く悲鳴を上げる。
城がなにか巨大な物体により攻撃され、一気に崩れていく。
それは私たちのいる部屋も同様だった。
壁が壊れ、崩れた天井の瓦礫が降ってきて、とっさにチェアの脇にあるテーブルに身を隠す。
耳に付けた小型の通信機からレヴィさんの声が叫んだ。
『ボス!!さくら、無事か!?』
続いてフランさんのかき消えそうな声。
『無事なら返事…してください、さくら』
「フランさん…だ、大丈夫ですよ」
私がそう答えると無線の向こうでフランさんのホッと息をつく音が聞こえた。
「いったい…何が…!?」
「ししっ、ヴァリアーよえ〜!!」
頭上から聞こえた聞き覚えのある笑い方に、とっさに空を仰いだ。
しかしその声は、良く知る人物のものではない。
「お?あれって…」
「間違いありません、ヴァリアーのボスにして、かつてボンゴレ10代目に最も近いと言われた男…」
頭上にいたのは、ベルさんと同じ金髪にミルフィオーレのマントを羽織った男と、ガタイのいい黒人の男。
そして、その横に、見知った顔がひとつあった。
「…XANXAS」
立ちふさがるその男を見て目を見開く。
目を疑いたかった。
「こんにちは、さくらさん」
震える唇から、その名が洩れる。
「…ロッシさん…?」
裏切りが音を立てる
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