Target-28:言えない真実


城から飛び出していくベルさん、フランさん、スクアーロさんの背中を見送る。
みんな無事に戦いが終わることを知ってはいても、私はひたすら祈らずにはいられなかった。


「さくら」


ザンザスさんが低い声で私を呼ぶ。


「そんなところで突っ立ってるんじゃねぇ。狙い撃ちされてぇのか」

「で、でも―――」

「大丈夫よぉさくらちゃん。
ベルちゃんもフランちゃんもスクアーロも強いんだから、簡単にはやられないわよ!」


城で待機することになり、見送りを終えたルッスーリアさんが部屋に入ってくる。


「敵の狙いはさくらちゃんなんだから、そんな目立つところにいちゃダメよ!
私はレヴィと外の見張りに行ってくるわ。
ボスが守ってくれるから、安心しなさい」

「ルッスーリアさん…そ、そうですよね!」


ルッスーリアさんの言葉にいくらか安心し、私は少し笑みを浮かべた。


「それにしても…どうしてミルフィオーレが私を狙うんですか?
私…人質にしたって大した価値もないし、特殊な能力があるわけでもないのに…」

「そ、それは…」


言葉に詰まってしまうルッスーリアさん。
ヴァリアーのみんなが、私の知らない何かを私に隠していることは、気づいていた。
たぶん、このリングについて、みんなは何か知っている。
それが狙われる原因だということは明らかで、私のためにあえて知らせないようにしているのがわかるから追及しようとは思っていない。

けれど、ルッスーリアさんの苦しげな表情は私の不安を煽る。
遠くで爆音が響いた。


言えない真実







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