side:Millefiore
「―――お呼びですか、白蘭様」
「例のもの、ちゃんと彼女に届けてくれたんだね」
「はい。適当な理由をつけて彼女に手渡しました」
「お疲れ様。それと、"例のもの"なんだけど…キミに任せようと思う」
白蘭から告げられた突然の任務にジューダは驚いた。
「そんな…下っ端に過ぎない私などがそのような大役を…」
にっこり笑って、白蘭はマシュマロをつまみ上げる。
袋の端からこぼれたマシュマロが床に落ちて転がった。
「キミはもう下っ端じゃないよ」
「え?」
「本日付けで、僕の専属秘書になったから」
専属秘書。それは言わば、側近と同等の意味合いを持つ。
つまり、ボスである白蘭の我が儘をひたすら叶える役目であり、ミルフィオーレに属する者にとって最も名誉な役職でもあるのだ。
その名誉な役職への異動を告げられジューダは頭を下げる。
「ありがとうございます!光栄です」
「ん、じゃあ期待してるよ。ジューダ君」
白蘭はスッと目を細める。
それは多くの人々を絶望に陥れた冷たい目だった。
「ジューダ・ロッシに、クオーレリングの奪取と、葉月さくらの捕縛を命ずる」
―――ミルフィオーレ攻撃まであと3日
暗黒の兆し
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