Target-20:動き出す千の花-mille fiore-


side:Millefiore


真っ白い部屋の中。
機械や書類にまみれたデスクの前に、1人の男が座っていた。
眼鏡の奥の彼の目線は、机上のモニターに向いている。


「いつになく神妙な顔しちゃって、何かあったの?正チャン」


モニターに映る、白い服に身を包んだ男は、ニッコリと笑みを浮かべる。
男の名は白蘭。彼が目の前にしている眼鏡の男は入江正一。
彼らこそ、ボンゴレを半壊滅状態まで追い込んだミルフィオーレファミリーだった。


「そうそう、こっちでね、妙な噂を聞いたんだ」

「妙な噂…?」

「そ。なんでも、7з<トゥリニセッテ>と同等の力を持った、全属性のリングが存在するって。
ま、僕はいいとこ都市伝説か…噂の域を出ないと思うんだけどねー」

「全属性…つまり、全ての属性を有したリングということですか」

「あくまで噂だからね、確証はないよ。
ただ、そんな物が実在するとしたら、どんな事をしてでも手に入れたいじゃん」


そう言うと白蘭は、手元のマシュマロをふにっと摘んで口に入れた。
正一は、白蘭の張り付けたような笑みが嫌いだった。
真意を隠し、皆を欺いているかのような気さえしてくる。
実際には欺いているのは自分の方だと言うのに。


「白蘭様」


背後からの声に、白蘭は振り向いた。
先ほどから白蘭の傍で待機していたミルフィオーレの情報伝達係だった。


「ん、どうかしたの?」

「そのリングは…確かに実在しています」

「へえ、心当たりがあるんだ。
ヴァリアーから何か掴んで来たってこと?」


回線を通して、正一も話に加わる。
全属性のリングに興味を持ったようだった。


「話してくれ、―――ジューダ・ロッシ」


       mille fiore
動き出す千の花



 



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あきゅろす。
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