side:Millefiore
真っ白い部屋の中。
機械や書類にまみれたデスクの前に、1人の男が座っていた。
眼鏡の奥の彼の目線は、机上のモニターに向いている。
「いつになく神妙な顔しちゃって、何かあったの?正チャン」
モニターに映る、白い服に身を包んだ男は、ニッコリと笑みを浮かべる。
男の名は白蘭。彼が目の前にしている眼鏡の男は入江正一。
彼らこそ、ボンゴレを半壊滅状態まで追い込んだミルフィオーレファミリーだった。
「そうそう、こっちでね、妙な噂を聞いたんだ」
「妙な噂…?」
「そ。なんでも、7з<トゥリニセッテ>と同等の力を持った、全属性のリングが存在するって。
ま、僕はいいとこ都市伝説か…噂の域を出ないと思うんだけどねー」
「全属性…つまり、全ての属性を有したリングということですか」
「あくまで噂だからね、確証はないよ。
ただ、そんな物が実在するとしたら、どんな事をしてでも手に入れたいじゃん」
そう言うと白蘭は、手元のマシュマロをふにっと摘んで口に入れた。
正一は、白蘭の張り付けたような笑みが嫌いだった。
真意を隠し、皆を欺いているかのような気さえしてくる。
実際には欺いているのは自分の方だと言うのに。
「白蘭様」
背後からの声に、白蘭は振り向いた。
先ほどから白蘭の傍で待機していたミルフィオーレの情報伝達係だった。
「ん、どうかしたの?」
「そのリングは…確かに実在しています」
「へえ、心当たりがあるんだ。
ヴァリアーから何か掴んで来たってこと?」
回線を通して、正一も話に加わる。
全属性のリングに興味を持ったようだった。
「話してくれ、―――ジューダ・ロッシ」
mille fiore
動き出す千の花
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