私がREBORNの世界に来て初めて迎える朝。
そして朝から、ヴァリアーの屋敷は騒がしかった。
「さくらー、本当にあの堕王子に何もされてませんかー?」
「え?は、はい」
あのまま眠ってしまった私を、ベルさんは自分の部屋に運んで寝かせてくれたらしい。
起きたら目の前にベルさんのどアップがあって、朝から心臓に悪い思いをした。
「だーかーら、王子はなんもしてねぇって」
「年中発情堕王子の事だからわかりませんよー。
きっとさくらが寝てるのを良いことにピーな事やバキューンな事してたに決まってますー」
「ししっ、死ねよ」
「ゲロッ」
騒ぎは収束しそうにない。
頼みの綱であるルッスーリアさんも朝ご飯を作りに行ってしまい、ここにはいない。
「るせえっ、ドカスが」
「あっ…」
私がオロオロしていると、不機嫌な顔のザンザスさんが食堂に姿を表した。
「お、おはようございます」
「ああ」
短く返事をすると、ザンザスさんは私の顔に手を添える。
私はかあっと顔が熱くなった。
10年経って、エロさとかっこよさに磨きがかかってるんだからこの人!
初めて間近で見るザンザスの顔は、傷だらけだった。
ボンゴレ10代目―――沢田綱吉との死闘の痕…。
「寝ぼけた顔してるんじゃねぇ。顔くらい洗ってこい」
「は、はいっ」
そう言われて私は、食堂から一番近いトイレに向かった。
そうだ、この世界にはあのボンゴレ10代目ファミリーも実在している。
そう考えると私は今、とんでもない体験をしている気がした。
―――だってここは漫画の中の世界、
顔を洗って食堂に戻ると、ふわんと良い匂いがした。
もう喧嘩は収束したようで(ザンザスが権力行使したに違いない)
皆テーブルについていた。
「あらぁっ、おはようさくら!
今日はあなたの日用品を調達しに街に出るわよ!」
「わあっ、楽しみです!」
テーブルにつくと、私はシナモンのかかったトーストにかぶりついた。
私がここにいる不思議
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