Target-09:私がここにいる不思議


私がREBORNの世界に来て初めて迎える朝。
そして朝から、ヴァリアーの屋敷は騒がしかった。


「さくらー、本当にあの堕王子に何もされてませんかー?」

「え?は、はい」


あのまま眠ってしまった私を、ベルさんは自分の部屋に運んで寝かせてくれたらしい。
起きたら目の前にベルさんのどアップがあって、朝から心臓に悪い思いをした。


「だーかーら、王子はなんもしてねぇって」

「年中発情堕王子の事だからわかりませんよー。
きっとさくらが寝てるのを良いことにピーな事やバキューンな事してたに決まってますー」

「ししっ、死ねよ」

「ゲロッ」


騒ぎは収束しそうにない。
頼みの綱であるルッスーリアさんも朝ご飯を作りに行ってしまい、ここにはいない。


「るせえっ、ドカスが」

「あっ…」


私がオロオロしていると、不機嫌な顔のザンザスさんが食堂に姿を表した。


「お、おはようございます」

「ああ」


短く返事をすると、ザンザスさんは私の顔に手を添える。
私はかあっと顔が熱くなった。

10年経って、エロさとかっこよさに磨きがかかってるんだからこの人!

初めて間近で見るザンザスの顔は、傷だらけだった。
ボンゴレ10代目―――沢田綱吉との死闘の痕…。


「寝ぼけた顔してるんじゃねぇ。顔くらい洗ってこい」

「は、はいっ」


そう言われて私は、食堂から一番近いトイレに向かった。

そうだ、この世界にはあのボンゴレ10代目ファミリーも実在している。
そう考えると私は今、とんでもない体験をしている気がした。


―――だってここは漫画の中の世界、

















顔を洗って食堂に戻ると、ふわんと良い匂いがした。
もう喧嘩は収束したようで(ザンザスが権力行使したに違いない)
皆テーブルについていた。


「あらぁっ、おはようさくら!
今日はあなたの日用品を調達しに街に出るわよ!」

「わあっ、楽しみです!」


テーブルにつくと、私はシナモンのかかったトーストにかぶりついた。



私がここにいる不思議





[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!