きっと誰かを好きになる



「…おい、しい」

「ほ、ほんと?」


パスタを一口、口に入れて美味しい、と言うクローム。
正直料理は得意ではなかったのだけど、簡単なレシピにしておいて良かった。


「誰かの料理を食べたの、ひさしぶり…」

「そう言ってもらえてよかったよ」


クロームはぶかぶかな俺のTシャツとジャージを着て、俺の向かいに座って、俺の料理を食べてくれている。

いや、なんかもう色々とヤバいな。


「…あの、名前…」

「へ、名前?」

「なんて、呼べばいい…?」


顔を赤らめて言うクローム。
そういや、一度も呼ばれていない。


「颯太でいいよ。名前の方が呼びやすいだろうし、友達はみんなそう呼んでる」

「颯太…」


うーん、なんかグッとくる。
いままで女の子に名前なんて呼ばれたことあったかな。


「颯太、は…ずっと独りで暮らしてるの…?」

「え、ああ、うん。
実家が学校から遠いからな」

「…寂しく、ないの?」


―――寂しい?
一人暮らしを始めてからまだ一年も経っていないが、寂しいと思ったことはない。


「寂しくないよ。俺はこの生活が気に入ってるからさ。
―――クロームは?」

「…え?」

「ここにくる前のクロームがどんな暮らしをしてたのか、知りたいんだ」

リボーンの漫画を読んだことがないわけではない。
むしろジャンプは毎週買ってるし、たいていの人気マンガならコミックスも持ってる。

クロームがどんな暮らしをしていたかなんて知ってるんだけど、クロームから聞いてみたかった。


「犬と、千種と一緒だったの…
2人は家族、みたいで…黒曜ランドっていうところに住んでた…」

「…そっか」


2人の話をするクロームは、少し嬉しそうに見えた。


あきゅろす。
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