世界が廻り続ける限り


どうやら俺は、とんでもない娘を拾ってしまったらしい。


クロームは驚くほど痩せていた。
黒曜ランドでは満足に食事をしていないのを知っていたが、明らかに栄養が足りていない。
不健康な痩せ方だった。

漫画で見たときも、細いなーと思っていたが、実際目の前にすると細いなんてものじゃない。
食べ物に恵まれているこの日本では、そんな痩せ方をすることは有り得ない。


「とにかく…そうだ食事!食事作るから、君はその間、シャワー浴びてきなよ。
え、えっと…明日、着替えとか買いに行くから今日のところは俺の服で我慢して」

「うん…ありがとう」

「や、そんな、いちいちお礼なんて」


「…でも、あなたは、誰とも知らない私に…優しくしてくれる…」


俺はドキリとした。
普通なら、見知らぬ女の子が突然自分の部屋にいたら警戒する。
俺が彼女を怪しまなかったのは、彼女のことを既に知っていたからだ。











クロームがシャワーを浴びている間、俺はいつもより張り切って夕食を作った。
クロームの嫌いな食べ物を知らないので無難にあさりのパスタ(意識したわけではない)とポテトサラダ、野菜多めのスープ。
少しでも、栄養が摂れるように。

彼女には、元気でいてほしかった。








あきゅろす。
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