それは必然的なのでしょうか



俺は普通の高校生だ。
今日だって、友達とジャンプの回し読みをしたり、二限で早弁したり、体育の授業でバスケに熱くなったり。
いつも通りの、かったるい普通の月曜日を過ごしたのだ。

なのに、なぜ今、俺の身にありえない事が起こっている?

俺のベッドで安らかな寝息を立てるその少女は、漫画のキャラクターであるクローム髑髏に激似だった。

起こすべきか?
このまま起きるのを待つべきか?

俺が混乱に満ちた使えない頭で苦悩していると、藍色の髪が動いた。


「ん…」


クローム髑髏(仮)が目を覚ました。


「お…起きた…?」

「…!」


彼女は俺の姿を視界に認めると、驚きに目を見開いた。
まあ、そりゃ当然だよな。
目が覚めたら、見知らぬ男が目の前にいるんだから。


「…誰…?」

「お、俺は…中宮颯太。
キミこそ…誰?」

「クローム…髑髏…」


頭を鈍器で殴られたような衝撃が俺を襲う。
本物?そんな、ありえない。


「ここ、俺の家なんだけど…どうしてキミはここにいるの?」

「分からない…」

「分からない?」

「黒曜ランドで寝てたのに…起きたらここにいた…」


クロームはうつむいた。
不安げな瞳で、膝を見つめる。

ああもう、なにがなんだか分からないよ。


「パラレル…ワールド」

「え?」

「私…違う世界から来たんだと、思う…」


ああ、パラレルワールド。
こことは違う世界。
つまり異世界。

やっぱり俺の仮定は正しかったらしく、彼女は正真正銘クローム髑髏なのだ。


「…迷惑かけて、ごめんなさい」


ふとクロームが鞄を抱えベッドを降りる。


「どこにいくの?」

「…元の世界に帰れるまで…寝られる所、探すの…」

「そんなの駄目だよ!」


俺は思わず声を上げた。


「え…?」

「女の子が1人でフラフラするなんて、危ないよ」

「…でも、私…行くところなんて」


行く宛てのない異世界の女の子を、1人街に放り出すほど俺は非情な男じゃない。


「き、君さえ良かったら、ここにいる?」


彼女の個性的な風貌は目立ちすぎるし、見る人が見ればコスプレだと思われるかもしれない。

彼女は自分が漫画のキャラクターだなんて知らないのだから。


「で、も…迷惑」

「なんかじゃない。俺は1人暮らしだし、女1人くらい大した負担にならないよ」


クロームは俺をじっとみつめてきた。
うわ、なんかくすぐってぇ。


「…ありがと」


そう言ってニコッと微笑んだクロームはとても可愛かった。






あきゅろす。
無料HPエムペ!